紫外線でできる皮膚がん
早期なら治療可能―日光角化症(虎の門病院皮膚科 林伸和部長)
紫外線を年中浴びていると、しみやいぼ、しわなどに加えて、皮膚がんができやすくなる。日光角化症は紫外線による皮膚がんの一種。虎の門病院(東京都港区)皮膚科の林伸和部長は「正しく診断、治療すれば治ります。気になる症状があったら、なるべく早く皮膚科を受診してください」と呼び掛ける。
額、鼻筋、頬骨、手の甲など、日光が当たる部分に出やすい(写真は額)
▽露光部に好発
日光角化症は皮膚が赤くかさかさして、かさぶたのようなものができる。触るとざらざらするのが特徴。額や鼻筋、頬骨(きょうこつ)、手の甲など、日光が当たる部分にできやすい。
熱帯・亜熱帯地域に長期間赴任していた人や、ゴルフや釣りなどのアウトドアのスポーツやレジャーが趣味の人など、日焼けの機会が多かった高齢者にできやすい。
かゆみなどの自覚症状はなく、林医師は「若い頃から紫外線を浴びる時間が長かった人で、老人性のしみやいぼがあり、その一部が赤くかさかさしてきたら、日光角化症の可能性があるので、皮膚科の受診を勧めます」と話す。
日光角化症は、皮膚の一番外側の浅い部分(表皮)にとどまっているがん。しっかり治療すれば100%治る。ただし、治療しないで放置すると、皮膚の深い部分(真皮)に達して有棘(ゆうきょく)細胞がんに進行する場合がある。進行すると治療が難しくなり、転移の恐れも出てくる。
▽日焼け止めで予防を
確定診断は皮膚の一部を取って検査を行う。治療には液体窒素による冷凍凝固療法、手術での切除のほか、最近ではイミキモドという免疫力を高める薬でがんを取り除く治療も可能になった。
イミキモドを週3日就寝前に患部に塗って朝洗い流す治療を4週間続けた後、4週間休薬して受診する。皮膚科医がまだがんが残っていると判断したら、もう4週間治療を続ける。「4週間の治療を2回行えば、ほとんどのがんは取り除くことができます」
近年の平均寿命の延びで、一生の間に浴びる紫外線の総量が増え、日光角化症を含めた皮膚がんを発症しやすくなっている。防ぐには、若い頃から屋外に行くときは日焼け止めを塗り紫外線を防御することだ。
林医師は「コロナの影響で、街中を避け山や海に出掛けるという人もいるでしょう。その際は、日焼け止めを忘れずに塗ってください」と注意を促している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2021/08/07 05:00)
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