2024/12/18 05:00
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夏休みが近くなると、話題になる子どもの「やる気」。どうしたらやる気が出るかは、子どもだけでなく大人にとっても重大な関心事です。私は産業医をしていますが、管理職やチームリーダーたちから、やる気がない部下を変えたいという相談をしばしば受けます。相手を変えるというのは非常に難しく、その前にまずその人がなぜやる気がないかについて調べてみることが大事です。
水遊びする子どもたち
◇やる気は心のエネルギー
(1)不安、混乱、怒り、疲労でマイナス
エネルギー、すなわち心の活気がやる気と言えます。心のエネルギーがなければやる気は生まれません。スマートフォンのバッテリーがないと、いくら操作しても動かないのと同じです。
子どものやる気がないのは、心のエネルギーが低下しているからなのかをまず確かめる必要があります。不安、混乱、怒り、疲労などは心のエネルギーを低下させます。心のエネルギーは目に見えませんが、その人の行動や態度などで確かめられます。
(2)エネルギー低下のサイン
・怒りっぽい
・行動のスピードが遅くなる
・朝起きるのが遅くなる
・食欲が低下する
などは心のエネルギーが低下しているサインです。やる気が出ないのは当然ですから、まずエネルギーの回復を優先します。方法は後ほど解説します。
(3)自己肯定感の喪失防ぐ
自信がなくなると、やる気はおこりません。「どうせやってもだめだ」「自分なんて価値がない」などと思って気分が落ち込み、心のエネルギーが低下します。「自分は向いていない」と自分にレッテルを貼り、やる気を失います。試験でうまくいかなかったり、友達より成績が悪かったり、競争相手に負けたりして、結果が思わしくないときなどに子どもの自己肯定感が低下します。
そのような場合、もし子どもが努力をしていたのなら、結果ではなく努力のプロセスを評価し認める声掛けが必要です。特に、努力していても結果が出ないとき、子どもは自分に能力がないと思い落ち込むことが多いものです。努力は結果として出るまでに時間がかかると伝え、子どもを安心させてほしいと思います。親が努力をちゃんと見ていますよ、と伝えるのも大事です。
(4)キラッと光る目に糸口
自己肯定感は、子どもが自分の興味を持つことに集中したり熱中したりするとしばしば回復します。子どもと話をしていて、子どもの目がキラッと光り生き生きと話すことはありませんか。サッカーやスポーツの話、植物や動物の話、恐竜の話など、子どもの生き生きとした話しぶりから好奇心の糸口を探すことができます。関心のあるものを調べたりして集中することが心のエネルギーとなります。好奇心は直接何かの勉強には役立たないかもしれません。しかし、自分は集中できるということで自己肯定感が回復して心のエネルギーになり、やる気を後押しできます。
(5)夏休みは生活リズム維持と自然との触れ合いを
心のエネルギーを保つには、子どもの場合は特に身体との関わりが大事です。夏休みは熱中症に気を付けながら涼しい時間を見つけ、身体を動かす時間を毎日つくってはいかがでしょう。身体を動かせば気分が解放されます。また、太陽の光に含まれるバイオエットライトが子どもの近視の予防になり、脳代謝に影響することが最近の研究で報告されています。
生活リズムのキープも大事です。夜寝る時間と朝起きる時間が遅くなるのを防ぐために、朝起きる時間は普段より2時間以上遅くならないようにすることが大事です。朝の光を浴びてから14~16時間後に睡眠を促すホルモンのメラトニンが分泌されるからです。
これらは心のエネルギーを保つための対策です。(了)
(2022/07/19 05:00)
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