一流に学ぶ 角膜治療の第一人者―坪田一男氏

(第13回)近視急増の謎に迫る=バイオレットライトに着目

 近視が増えているのは、「バイオレットライト」を浴びる機会が減ったためだ―。坪田氏は2016年末に、こんな研究結果を発表した。バイオレットライトとは、可視光の中で紫外線の手前にあたる波長の、プリズムを通した時に紫色に見える光。ヒヨコの近視モデルを使った実験から、「屋外で過ごす時間が減り、紫外線(UV)から守ろうとし過ぎるあまり、子どもの成長期に必要なバイオレットライトまで排除してしまった結果として、近視が増えた」ことを導き出した。

 ◇新発想で原因と予防の研究

 眼鏡や自動車、住宅のガラスなどには多くの場合、UVカットが施され、紫外線を透過させないと同時に紫外線に最も近いバイオレットライトも遮断してしまう。蛍光灯やLEDライトにはバイオレットライトが含まれないため、室内にいるときは浴びる機会がない。

 「勉強や読書の時間が長いから近視になる。そんな従来の考えに対し10年ほど前から、屋外で遊ぶ時間が長い方が近視になりにくいことが指摘され始めました。しかし、なぜ外で遊ぶことで近視を防ぐことができるのか、そのメカニズムが明らかになっていなかった」

 坪田氏は、外で遊ぶことが少ないとバイオレットライトを浴びる機会が少なくなる。そのことが近視に影響しているのではないかと考え、研究を進めてきた。

 「近視は眼鏡やコンタクトレンズで矯正できるし、大人になればレーシック手術という方法もある。しかし、近視が進んで強度近視になると、緑内障や白内障、網膜剥離などの目の病気を合併しやすい。現在、強度近視は18歳以上で失明する原因疾患の第4位です。近視大国の中国では第2位となっています。近視予防が重要な課題となってきているのです」

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