治療・予防

8%が週1回以上「ネットいじめ」
~コロナ下の職場で(筑波大学 池田朝彦助教)~

 コロナ下でリモートワークが普及するなど、労働環境が変化する中、職場におけるインターネットを介したいじめ(ネットいじめ)が世界中で目立ち始め、働く人の精神的不調が懸念されている。職場のいじめとメンタルヘルスの実態調査を行った、筑波大学医学医療系(茨城県つくば市)の池田朝彦助教に話を聞いた。

職場でのネットいじめ

 ◇精神的不調に

 池田助教らは2021年1月、正社員1200人(20~64歳)を対象にインターネット調査を実施。その結果、全体の8.0%が週に1回以上のネットいじめを受けており、11.3%が週に1回以上、ネットを介さない「従来型いじめ」を受けていることが分かった。

 最も多く見られたパターンは、ネットいじめでは「職場で、メールや電話での通話、メッセージが無視される」、従来型いじめでは「仕事に影響のある情報をもらえない」というもので、ともに5.0%だった。

 さらに、全体を〔1〕従来型のいじめとネットいじめのどちらも受けていないグループ(81.0%)〔2〕従来型のいじめのみ受けているグループ(14.3%)〔3〕従来型のいじめとネットいじめの両方を受けているグループ(4.8%)に分け、比較検討した。

 それによると、〔1〕に比べ、〔2〕と〔3〕は「心理的苦痛」「不眠感」「孤独感」などの精神的不調を示す指数が大きくなり、特に〔3〕でより増大した。

 ◇産業医などに相談を

 池田助教は「ネットいじめの特徴として、匿名性、拡散されること、時間や場所を問わないことなどが挙げられます。上司が部下から攻撃的なメールを受けるなど、立場に関係なく生じることもあります」と説明。また上司への批判を他の社員に一斉メールで送ったり、インターネット交流サイト(SNS)のツイッターなどに発信したりする場合など、不特定多数に拡散されやすい一方で、同僚ら周囲には気付かれにくく、本人の孤立感が深まるという。

 企業の産業医としても働く池田助教はいじめ対策として、「産業医と面談できる相談窓口を積極的に活用することを勧めます。職場に産業医がいない場合は、保健師、上司、同僚らに相談を。1人で抱え込まないことが大切です」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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