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思春期の少女に発症することが多い脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)は、脊柱(背骨)がねじれるように側方に曲がってしまう病気。早期に発見して進行を抑えることが重要だ。「側弯症は無症状・無自覚のうちに進行するので、検査機器を用いたモアレ(しま模様)検査を学校検診で広く実施することが望まれます」と、日本側弯症学会理事を務める慶応義塾大学病院整形外科・渡辺航太准教授は話す。
脊柱側弯症のモアレ検査の画像例
◇装具治療で進行抑制
脊柱側弯症は、特発性側弯症と呼ばれる発症原因が不明なケースがほとんど。背骨の変形は成長に伴って進行する。手術が必要になるのはごく一部だが、「早期に発見して経過観察を続けることが重要です。適切な時期にコルセットによる装具治療を始めると進行が抑制され、手術を回避できる可能性が明らかに高まります」と渡辺准教授。
日本では側弯症の早期発見・早期治療を目的に、1978年から小中学校で側弯症検診(2016年からは運動器検診)が義務化されている。主な検査法は、学校医が姿勢などをチェックする視触診と検査機器を用いた検査だが、その採用や実施方法は各自治体によってまちまちだ。
◇見落とし率0%の検査
「13~14歳の少女の側弯症の有病率は約2.5%ですが、文部科学省学校保健統計調査によると14歳の少女を対象にした検診での発見率が1%以下の都道府県が半数以上あります」と渡辺准教授は指摘する。
特に視触診のみを行っている都道府県の発見率は低い傾向だという。「検診を行っているにもかかわらず側弯症患者を見落としている可能性があります」
視触診と比較して精度の良さで優れるのがモアレ検査だ。3次元スキャナーを搭載した検査機器で体の背面を測定、そのデータから体表面の高さや形状をモアレ画像へ変換する。しま模様が左右非対称の場合は側弯症の疑いとみなし、整形外科でエックス線検査などによる診断が行われる。「モアレ検査の見落とし率(偽陰性率)は0%。側弯症のスクリーニングとして非常に有効です」
側弯症は進行すると肋骨(ろっこつ)にも変形が起こり、心肺機能の低下や運動器の障害など全身に影響が及ぶ可能性もある。また、容姿に対する劣等感など精神面への影響も問題だ。早期に異常を見つけて医療機関での検査や治療につなげるためにも、学校検診の役割は大きい。
現在、モアレ検査に代表される機器を用いた検診を実施しているのは一部の自治体のみだが、今年度から日本側弯症学会を中心に全国的な導入に向けたシステムの構築が動き始めている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/11/06 05:00)
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