治療・予防

幼少期からさまざまな症状―マルファン症候群
~継続受診が大切(東京大学医学部付属病院 武田憲文センター長)~

 マルファン症候群は、特定の遺伝子が変化している人に発症し、生まれつき細胞と細胞をつなぐ線維の成分が弱い病気だ。年代に応じて骨格や目、動脈などにさまざまな症状が出る。東京大学医学部付属病院(東京都文京区)マルファン症候群センターの武田憲文センター長(循環器内科)に聞いた。

背が高い、背骨が曲がるなど特徴的な体形が見られるマルファン症候群

背が高い、背骨が曲がるなど特徴的な体形が見られるマルファン症候群

 ▽幼少期の目の異常

 同症候群は約5000人に1人の割合で発症し、両親いずれかの遺伝で発症する人が約4分の3とされる。主な症状は、幼少期は水晶体脱臼(だっきゅう)による目の位置のずれ、成長期の骨の異常、成人以降の大動脈瘤(りゅう)や大動脈解離など。

 「子どもは目の異常を自分から訴えないため、水晶体脱臼は3歳児検診で見つかることが多いです。将来の弱視を防ぐ上でもきちんと治療することが重要です」

 10代になると背が高く、指が長い、背骨が曲がるなど、マルファン症候群の特徴的な体形が見られ、気胸や胸の中央が陥没している漏斗(ろうと)胸をきっかけに受診し、診断に至る人も多い。

 「背骨の曲がりが大きい場合、成人以降に強い腰痛に悩まされる人が少なくないため、コルセットをつけたり手術を行ったりします。将来の生活の質(QOL)維持のために、整形外科医と相談して管理を続けることが大切です」

 ▽突然死を防ぐ

 患者の多くが小児期から大動脈瘤(りゅう)を発症し、思春期から若年期で手術を要する場合もある。「マルファン症候群と診断されていない人や継続的に受診していない人は、大動脈瘤の破裂や解離を起こし、死亡するケースもあります。20代後半~30代で急性大動脈瘤解離を発症し、救急搬送される人も少なくありません」と武田医師は指摘する。

 この世代は結婚や出産、子育てなどの時期と重なります。大動脈瘤の大きさによって主治医と手術のタイミングを相談したい。

 小児から青年期に水晶体脱臼や骨格の特徴から、マルファン症候群の可能性を指摘されたら、小児を総合的に診る医師の診察を受けるのが理想だ。「子どもの時は、保護者が年代に応じて表れやすい変化に注意し、医療とのつながりを断たないようにしましょう」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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