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発達障害を持つパートナーと関係性がうまく築けずに苦しむ「カサンドラ症候群」。周囲の理解が得づらく、ストレスが募る。東京都内で精神科クリニックを運営する医療法人社団惟心会の吉田健一理事長(精神科医)は治療を受けながら家族会などを利用するよう勧める。
さまざまな症状が表れるカサンドラ症候群
◇献身的な人は重症化も
カサンドラ症候群は病名ではない。一般的には、発達障害の一つであるアスペルガー症候群のパートナーを持つ人が、意思疎通がうまくいかず、ストレスで心身に不調が表れる状況を指す。
カサンドラはギリシャ神話に登場するトロイの王女。神の呪いにより、周囲に予言を信じてもらえなくなり苦しんだ境遇になぞらえて名付けられた。
アスペルガー症候群の人は、本人には悪意がないのに、比喩的な表現や相手の感情が読み取れない、自分の話ばかりする、相手を傷つける言動をしてしまうなど、周囲をいらいらさせたり、トラブルを起こしたりすることがある。職場などでは「ちょっと変わった人」として見られることが多いが、普通に社会生活ができていれば問題視されることはない。
アスペルガー症候群のパートナーを持つと、独特な言動に日常的に振り回される。そんな悩みを周囲の人に打ち明けても理解してもらえず、ストレスがたまって、頭痛、不眠、抑うつ、不安障害、無気力などさまざまな症状が表れるようになる。「献身的で、我慢強く、きちょうめんな人は重症化しやすい傾向があります」と吉田理事長は指摘する。
◇互いに言葉で伝える
吉田理事長は、症状がつらい場合は心療内科や精神科を受診するよう勧める。カサンドラ症候群は適応障害などと診断されることが多く、薬で症状の緩和を図る対症療法が有効だという。「治療を受けながら、同じ悩みや苦しみを共有できる家族会や自助グループに参加することも有意義です」
アスペルガー症候群の人は場の空気を読んだり、相手の気持ちを推し量ったりすることが苦手だ。「アスペルガー症候群のパートナーと良好な関係性を築くためには、お互いにしてほしいことを言葉で伝えるように心掛けてください。パートナー自身がアスペルガー症候群であることに気付いていないこともあり、お互いに発達障害について理解を深めることが大切です」と吉田理事長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2022/11/20 05:00)
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