治療・予防

ストレスで生活に支障―適応障害
早期治療と周囲の支援がカギ

 思い通りにならないことやつらい出来事などのストレスを受けると、誰でも不安や憂鬱(ゆううつ)になる。適応障害とは、ストレスで思った以上に精神的ダメージを受け、生活に支障が出てしまう病気だ。人形町メンタルクリニック(東京都中央区)の勝久寿院長に話を聞いた。

 ▽体の症状も重要

     ストレスに直面すると症状が出現
 適応障害では原因となるストレスに直面するとすぐ症状が表れ、離れると症状が軽減するのが特徴だ。勝院長が「本人とストレスのミスマッチ」と説明するように、本人の弱点を突くストレスが発症の引き金となる。

 例えば、職場で上司に怒られ上司の前で震えが起こるようになる、病気の告知を受け入れられず治療を拒否するといった症状で、夫婦や嫁姑、親子関係のストレスから適応障害を発症することもある。

 都市部では職場がきっかけとなって発症する適応障害が圧倒的に多く、「人間関係」「仕事量」「仕事の質」の三つが常に原因の上位を占める。完璧主義で他人に任せられない、プライドが高く傷つきやすい、自分に自信がなく自己主張ができないといった性格や、上司や周囲のサポートが得られにくい環境だと、適応障害を招きやすい。

 診断の際は、不安症状や抑うつ症状がないか、勤務怠慢など年齢や社会的役割にふさわしくない行動がないかなどを確認して、治療法が異なるうつ病や不安障害と区別する。適応障害では、頭痛や倦怠(けんたい)感、腰背部痛といった身体症状も見逃せない。

 ▽治療目標は「適応」

 治療では、単に症状を緩和するだけではなく、ストレスに適応できるようにすることに重点を置く。治療の手順は、〔1〕ストレスの内容を話し合う〔2〕ストレス反応を弱め持続させない〔3〕ストレスへの対応力を高める〔4〕ストレスを克服する―の四つの段階を踏む。

 医師と患者は一緒になってストレスの内容を明確にし、以前も同じことがなかったか、どのようなサポートがあったらストレスに適応できるようになるかを探る。医師が「もし同僚などから同じ相談を受けたらどうするか」と尋ね、自分が置かれた状況を患者に客観視させることも効果的だ。

 人への恐怖を軽減するため、断るときにははっきる断る、助けが必要なら助けを求めるといった自己主張訓練も行う。不安や抑うつ症状が強い場合は薬物療法を併用することもあるが、自分に合ったリラクセーション方法を見つけ、ストレスに慣れていくためにできるだけ仕事を休まないことがポイントだという。

 「ストレスは簡単に言えば『おもり』のようなもの。自分がつらいときに、支えてもらえる環境があるかどうかが回復のカギです。苦しい場合や日常生活に支障があるなら、無理せず専門医を受診してほしい」と勝院長は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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