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生まれつき耳の周辺に直径1ミリほどの小さな穴がある人がいる。先天性耳瘻孔(じろうこう)といい、耳の近くが赤く腫れたりする症状の原因である可能性がある。神楽坂肌と爪のクリニック(東京都新宿区)の野田真喜副院長に治療法などを聞いた。
耳の周辺に小さな穴ができる耳瘻孔(耳の上部。炎症を起こして赤く腫れている)
◇無症状の人も
先天性耳瘻孔は、日本人では100人に2~3人の割合でみられるという。耳の前の部分にできることが多く、皮膚がくぼみ、その先は袋状やトンネル状になっている。くぼみの深さは人によってまちまちで、数ミリから1~2センチの場合もある。皮膚の下で枝分かれしたり、耳の軟骨に癒着したりしているケースもあるという。
胎児期に耳ができる過程で発生すると考えられ、遺伝が関係しているともいわれる。野田副院長は「耳瘻孔自体が自然にふさがることはありませんが、無症状のことも多く、そのまま一生を過ごす人もいます」と話す。
しかし、くぼみに汗やあかなどがたまり、悪臭を放つことがある。さらに、細菌が侵入して感染を起こすと、炎症で赤く腫れたり、痛みやうみが出たりする。感染を繰り返したり、炎症が続いたりすると、穴の周囲の皮膚が潰瘍化することもある。症状がある場合は治療が必要だ。
◇穴はいじらぬように
治療は、抗菌薬などを内服して炎症を抑え、腫れや痛みが治まった段階で手術するのが基本。くぼみとそこから続く皮膚の下のトンネル状の組織を完全に摘出する。取り切れないと再発する可能性があるからだ。
手術は局所麻酔で行える場合もある。患者が子どもの場合や、くぼみの状態によっては全身麻酔で行われる。手術時間は30~60分程度。公的医療保険が適用される。
耳瘻孔がある人は、日ごろどのようなことに注意したらいいのだろう。野田副院長は「症状がなければ、何もせず放置しても問題はありません。くぼみをいじったり、中にたまったあかや分泌物を無理に押し出したりしないでください。感染を繰り返すなど、気になる症状がある場合は形成外科や耳鼻科を受診することをお勧めします」とアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/01/08 05:00)
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