治療・予防

ウオータースポーツで発症―サーファーズイヤー
~耳に冷水入り、骨が隆起(福島県立医科大学会津医療センター 小川洋教授)~

 サーフィンをする人に発症しやすいことから、サーファーズイヤーとも呼ばれる外耳道外骨腫。耳の穴から鼓膜までの外耳道に、冷水による刺激が繰り返し加わることにより、外耳道を囲む骨が増殖して隆起する。福島県立医科大学会津医療センター耳鼻咽喉科の小川洋教授は「難聴の原因にもなります。これからサーフィンなどを始める人は、予防法などを知っておくことが大切です」と話す。

耳の構造と骨の隆起

耳の構造と骨の隆起

 ▽難聴のリスクも

 耳は、外側から外耳、中耳、内耳に分かれている。外耳道は耳の穴に近い軟骨部外耳道と、奥の骨部外耳道から成る。サーファーズイヤーで骨が増殖するのは骨部外耳道だ。

 サーフィンなどのウオータースポーツで、外耳道に冷水が入る刺激が長期にわたって続くと、外耳道を保護するために頭蓋骨の一部である側頭骨が増殖する。その結果、こぶのような隆起が幾つもでき、骨部外耳道が狭くなる。

 サーファーズイヤーに至る冷水刺激の頻度や水温については詳しい統計はなく、人によりばらつきがある。小川教授は「サーフィン歴が長い人ほどかかりやすい傾向があります」と説明する。

 サーファーズイヤーになると、耳あかがたまり耳がふさがったような感覚が生じたり、聞こえが悪くなったりする。外耳炎が起きて痛みを感じることもある。外耳道が外耳道外骨腫でふさがると難聴となる。

 ▽サウナの水風呂に注意

 一度隆起した骨は小さくなったり、元に戻ったりすることはない。「聴力の低下、繰り返す外耳炎などの症状は、治療が必要になります。気になる症状があれば、耳鼻科を受診してください」と小川教授はアドバイスする。

 サーファーズイヤーは、外耳道を観察することで診断できる。聴力検査や、病変部の広がりを調べるコンピューター断層撮影(CT)検査を行い、治療方針を決定する。

 鎮痛薬や手術で症状が改善しても、冷水刺激を受け続ければ再発の可能性がある。予防するには、海水温が下がる冬季のサーフィンは極力避けること。サーファー用の特殊な耳栓などを使うことも有効だ。

 小川教授は「サウナの後の水風呂でも同様の現象が起きる可能性があるので、冷水が耳に入らないように注意しましょう」と呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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