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精神保健福祉分野では、同じような病気を経験した人が当事者を支える制度がある。それが1990年代から作業所や社会復帰施設で活躍するようになった「ピアサポーター」で、日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構(東京都荒川区)の内布智之理事に話を聞いた。
ピアサポーター
◇同じ仲間として
精神疾患は、がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病と並び五大疾病に含まれる。厚生労働省の調査(2017年)によると、精神疾患患者は約400万人いる。
うつ病、統合失調症、双極性障害など「心の不調」は誰もがなる可能性がある。治療は精神科医が当たるが、長期入院から地域に戻る際や就労時に活躍するのがピアサポーターだ。
「メンタルヘルスに関しては当事者が孤立しがちで、意図的な関わり合いが必要。ですから、精神保健福祉分野のピアサポーターが注目されています」
内布理事自身も統合失調症になり引きこもりを経験したことがある。「治療して社会復帰した経験を今、ピアサポーターとして生かしています」
患者にとって効果として挙げるのが「安心感」「共感性」と「ロールモデル」。相手が自分と同じ経験をしているという安心感や感覚の共有と、「自分もピアサポーターのようになりたい」という思いが当事者を勇気づけるのだ。
◇孤立させないことが大事
長期入院している患者の場合、退院後に地域で暮らすイメージが湧かない人が多い。ピアサポーターは、そういう人にグループホームやヘルパーなど、福祉サービスを利用すれば地域に戻れることを伝える役割もある。
「地域で暮らすときは相談相手になります。就労の際も、ともすると自分が『できないこと』に目が行きがちですが、まずアルバイトから始め、障害者雇用を行う企業などを探す道を伝え、安心してもらいます」
内布理事は「精神疾患の患者は社会的マイノリティーとされますが、決して独りではありません。『どうして、うちの子がこんな病気に』と嘆く親もいますが、全国に家族会があり相談し合えますよ」と励ます。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/02/23 05:00)
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