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近年、増え続けている大腸がん。早期診断・治療につなげようと、40歳以上を対象に、便に混じった血液を検出する「便潜血検査」による大腸がん検診が自治体や職場で実施されている。
東邦大学医療センター大森病院消化器内科(東京都大田区)の松田尚久教授は「大腸がんは、早期で見つかると治癒率が高いがんの一つです。早期にはほとんど自覚症状がないため、大腸がん検診を毎年受けることが大切です」と話す。
大腸がん検診の流れ
◇年15万人診断
国のがん統計によると、2019年に全国で100万人近くが新たにがんと診断され、このうち大腸がんは約15万人に上る。大腸がんによる20年の死亡者数は約5万人で、男性ではがんによる死亡原因の3位、女性は1位だった。
「大腸がんは、中高年なら誰もが警戒すべき病気です。結腸、直腸に発生するがんで、腺腫(せんしゅ)という良性のポリープががん化するものと、正常な粘膜から直接発生する陥凹(かんおう)型のがんの、主に2種類があります。陥凹型は悪性度が高く、進行が速いことが特徴です」
大腸がんは、早期では自覚症状がほとんどないが、進行すると、血便、下痢と便秘の繰り返しや腹痛、貧血などが見られることが多い。大腸がんと診断された人の5年生存率は、がんが大腸の粘膜にとどまるステージ1では約97%、リンパ節に転移があるステージ3でも約75%となっている。「早く見つけられれば治りやすいがんなので、検診は効果的といえます。便潜血検査は、がんを見つけられない場合もありますが、毎年受けることで、より早いステージで見つかる可能性が高くなります」
◇便潜血は要精検
大腸内にポリープやがんがあると、出血するケースがある。その際の血液を検出するため、便潜血検査では2日分の便を採取する。「便に混じった微量の血液は目には見えません。1日分でも陽性が出た場合は、全大腸内視鏡検査などによる精密検査が必要(要精検)です」
全大腸内視鏡検査は、下剤で大腸を空にした後、肛門から内視鏡スコープを挿入して、がんやポリープの有無を調べる。同時に、必要に応じて組織を採取して悪性かどうかを調べたり、ポリープやごく早期の粘膜がんを切除したりもできる。
要精検の結果が出ても、実際に精密検査を受ける人は7割程度にすぎない。「便潜血陽性の場合は精密検査を受けるまでが大腸がんの検診プログラムです。がんを恐れるのではなく、がんであっても早期であれば治りやすいことを前向きに捉えて、積極的に大腸がん検診を受けてほしいと思います」と松田教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/03/06 05:00)
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