2024/12/04 05:00
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昨年12月20日、雪に埋まった車内で意識がない女性が発見され、死亡が確認されたというニュースがありました。
その地域では、19日から停電が起きていて、女性は自宅前の車内で暖を取っている最中に、一酸化炭素中毒になったと推測されています。
積雪で車のマフラーが埋まってしまい、換気が不十分だったとみられます。
一酸化炭素は、人命を脅かす恐ろしい気体です。
一酸化炭素は無色無臭なので、 その存在に気づきにくく、知らないうちに中毒になってしまいます【時事通信社】
目に見えず、臭いもないため、私たちはその存在に気づけません。
◆換気が大切
実は一酸化炭素は、自宅や車内などの身近な空間で発生し得る気体です。
例えば、寒い時期は、暖房器具の不完全燃焼で一酸化炭素が発生する恐れがあります。
換気扇を使用する、定期的に窓を開けるなどによって、換気することが大切です。
また、屋外で使用すべきコンロや七輪、火鉢などの火気器具を屋内で使用し、一酸化炭素中毒になる事例もあります。
閉鎖空間での火気器具の使用には、十分に注意しなければなりません。
東京消防庁の管轄内では、2015年からの5年間に、住宅で27件の一酸化炭素中毒事故が発生し、44人が救急搬送されています(編注)。
最も発生件数が多いのは1月、その次に多いのは12月です。
火気器具の使用が多くなりがちなこの時期は、特に注意が必要です。
◆ヘモグロビンの役割とは
ところで、一酸化炭素が体内に入ると、どんなことが起こるのでしょうか?
私たちは、呼吸によって大気から酸素を取り込まなければ、生きていけません。
全身の臓器が正常に機能するには、酸素を使ってエネルギーを産生する必要があるためです。
口から取り込んだ酸素は、肺から血管内に入り、血流に乗って全身をめぐります。
血管は全身に張り巡らされた「高速道路」で、そこを走る「輸送トラック」が赤血球です。
赤血球にはヘモグロビンという成分が含まれ、これが酸素と結合することで、酸素を全身に届けることができます。
つまり、ヘモグロビンは輸送トラックの「荷台」に相当するわけです。
◆一酸化炭素が恐ろしい理由
一酸化炭素が恐ろしいのは、酸素より200倍もヘモグロビンに結合しやすいことです。
一酸化炭素が体内に取り込まれれば、酸素よりはるかに効率よくヘモグロビンと結びつきます。
輸送トラックの荷台が、次々と一酸化炭素で占められてしまうのです。
結果的に、体は酸素不足に陥ります。
口からいくら空気を吸い込んでも、酸素を利用できないからです。
私たち人間にとっては、生きていくのに不可欠な酸素も、死のリスクを持つ有毒な一酸化炭素も、無色・無臭です。
健康を守れるのは、正しい知識と、それに基づく適切な行動だけなのです。
(編注)東京消防庁ホームページ「住宅で起きる一酸化炭素中毒事故に注意!」より
(2023/01/11 05:00)
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