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コロナ禍で注目されたことの一つは、病原体に負けない強い免疫力だった。近年、免疫力向上の鍵の一つが大腸にあると分かってきており、いわゆる「腸活」(大腸の環境改善)が注目されている。犀星の杜(さいせいのもり)クリニック六本木(東京都港区)の川本徹院長に話を聞いた。
水溶性食物繊維を多く含む主な食べ物
◇短鎖脂肪酸が役立つ
大腸は、胃や小腸で消化、吸収された後の食物の残りかすから水分などを吸収して便を作り、排せつするまでためておく機能を持つ。それに加え、「腸内細菌を介して重要な役割を果たすことが、最近の研究で分かってきました」と川本院長。
大腸にはさまざまな種類の腸内細菌が存在する。細菌でも体に良い影響をもたらす「善玉菌」もあり、その一つがビフィズス菌だ。
「善玉菌は大腸で、野菜、果物、海藻類などの食物のかすに多く含まれる水溶性食物繊維を食べ、酢酸(さくさん)や酪酸などの『短鎖脂肪酸』という物質を作ります。これが健康維持に役立ちます」
短鎖脂肪酸は▽腸内を弱酸性にして悪玉菌が増えにくい環境にする▽肥満、糖尿病、高血圧などの生活習慣病を予防する▽各種ホルモンの分泌を促し、精神を安定させる―といった働きをする。
さらに、免疫機能を正常化したり、蠕動(ぜんどう)を良くしたりして消化、吸収を助けるなどの作用もある。「蠕動の改善は、悪玉菌の増殖を抑え、善玉菌を増やし、直接的な免疫力向上にも関係すると考えています」
◇水溶性食物繊維が豊富な食物を
免疫力向上につなげるには「善玉菌の餌になる、水溶性食物繊維が豊富な食物を継続的に食べることが大事です」。
ヨーグルトを食べるときはビフィズス菌入りのものを選び、胃酸が多い食前や食直後、就寝前などを避け、おやつの時間など食間に食べるとよい。食べ方は「水溶性食物繊維が豊富なキウイやバナナを乗せたり、同じく善玉菌の餌になるオリゴ糖が豊富な蜂蜜を掛けたりして食べるのが理想的です」。
川本院長は「幼児期の食事は、その後の腸内環境に影響するので、栄養が偏らないように注意しましょう。また加齢とともに善玉菌は減るので、特に中高年の方は腸活に取り組んでほしい」とアドバイスする。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2023/05/28 05:00)
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