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あざ、やけどなど傷痕を化粧でカバーすることで元の状態に近づける「メークセラピー」。2001年から専門外来を設けている日本医科大学(東京都文京区)形成外科の朝日林太郎講師にそのメソッドなどについて話を聞いた。
メークセラピー
◇選択肢として
形成外科では、あざ、しみ、けがによる傷やケロイドなどを目立たなくするために手術やレーザー治療などを行うが、満足のいく結果にならなかった場合、元には戻せないことがある。手術やレーザー治療は時間や費用などの問題もあり、誰もがこの治療を選択するわけではない。メークによる効果が見込まれる場合は、選択肢の一つとして試してもらう。メークは専門のメークセラピストが行い、通常とは異なる種類の化粧品や方法で傷痕やあざなどをカバーする。
形成外科的治療を選んだ場合でも、手術するまで、あるいは術後も傷痕などが気になる場合にメークセラピーを受けることがある。「患者の状態には個人差があるため、メークセラピーを効果的に取り入れています」
◇QOL高める
メークセラピーが可能な症例は多い。例えば、自分の顔や体つきを醜く、異常であるなどと感じたりする「醜形恐怖症」や、外傷、口唇裂、顔の変形、目のたるみ、アトピー性皮膚炎、がんや皮膚病などの治療の副作用などに対応できる。
見た目の問題には精神面もかかわる。醜形恐怖症には、うつ病や双極性障害、神経症、摂食障害などの精神疾患が隠れていることも。その場合は手術やレーザー治療の適用外となるため、メークセラピーが勧められる。
形成外科的治療後、外見が気になって自信を持てない患者もいるが、メークで傷痕を目立たなくすると、自己肯定感が高まり社会復帰が容易になるという。メークセラピーには、体の表面を損傷した人の心の回復を目指すリハビリテーションの側面も大きい。
「メークセラピーの目的は、患者の生活の質(QOL)を高めること。メーク後は表情が全く違い、生き生きとして明るくなります」と朝日講師は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/02/08 05:00)
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