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~トラブル増で専門家警鐘~
冬将軍の季節になると、日本海側などを除いて空気が乾燥し、エアコン使用も相まって肌はカサカサ。感染症の影響でアルコール消毒の頻度が増え、手の荒れは目に付きやすいが、足はどうか。特にかかとがひび割れや炎症を起こすと、日常生活にも支障が出てくる。予防と対策を専門家に聞いた。
乾燥が進み、ひび割れが痛そうなかかと
◇原因
①足裏の構造
「汗をかく量が減る冬場は、より一層乾燥する」と話すのは、皮膚科を専門とするひかり在宅クリニック(横浜市)の今井亜希子医師。足の裏には皮脂腺が無い。皮脂は汗と混ざり合い、肌の水分の蒸発を防ぐ役割を担っているため、足裏は年間を通して乾燥しがち。冬場は汗をかきにくいため、乾燥に拍車が掛かる。
②圧力と摩擦
歩行時、かかとには外側から体重の約70%の圧力がかかる。走ったり早歩きしたりすると、体重以上の圧力がかかる場合もある。
加えて、靴の中で「こすれる(足が滑る)」動きが肌への摩擦となり負担になる。「パンプスなど足の押さえが利かない靴を履いていると、歩くときに足をこすってしまう。また、筋力が弱い人は足を持ち上げずに歩くため、すり足になりやすい」(今井医師)。
かかとの仕組み
③血行不良
大きな原因と言えるのが血行不良。かかとは、歩行時の衝撃を吸収するため「踵部(しょうぶ)脂肪体」と呼ばれる皮下脂肪が厚く、中は硬い繊維が張り巡らされてクッションの役割を果たしている。毛細血管も通っているが、体の末端に位置していることもあり、血流が滞りやすい。冬場は、冷えによる血管収縮も要因の一つになる。
血液の循環がうまくいかないと、皮膚の新陳代謝が遅くなる。表皮細胞の入れ替わりが滞ると、古い角質が蓄積して厚みを増す。こうなると保湿剤なども浸透しづらくなり、治りも遅くなる。今井医師は「放置すると悪循環になる」と警鐘を鳴らす。
◇皮膚の状態に合った保湿クリームを
かかとが荒れたら、どんなセルフケアをしたらいいか。気を付けたい点は、正しい方法と保湿剤の選び方だ。保湿剤は「水分と油分の両方を含んだクリームがいい。成分としてビタミンEが配合されたものは、血行を促進する作用があるので、冷えが気になる方のかかと荒れのケアにお薦め。尿素、ヘパリン類似物質などが配合されていると保湿力が高い」と今井医師は話す。
尿素は角質層を軟化させる作用がある。「ただ、角質を溶かして柔らかくするため、ひび割れや傷がある肌には染みることがある。こうした症状が出た際は使用を中止し、皮膚科を受診してほしい」(今井医師)。
適切な靴を履いて、しっかり運動することが血行促進につながる
◇たっぷり塗って、靴下をはく
正しい方法のポイントは塗る時間。今井医師は「入浴後の就寝前、朝起きた時など、いろいろタイミングはある。入浴後は角質層が水分を含んでいるので浸透しやすい」とアドバイス。さらに「ずれや圧力を少し軽減する上、クリームを上からカバーしてくれるため、靴下をはいてほしい」と付け加える。
クリームをたっぷり使うことも重要だ。今井医師は「人さし指の先から第1関節までの量で片方全体分になる。マッサージで血流を促しながら塗るのが大事」と説明。すぐに実行できる内容で、手軽に習慣化できそうだ。
(2023/12/13 05:00)
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