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尋常性白斑は皮膚の色が抜ける病気。人口の1%前後に発症するとされ、珍しい病気ではない。一般に治りにくいとされるが、近年は新たな治療法も登場している。近畿大学奈良病院(奈良県生駒市)皮膚科の大磯直毅教授に聞いた。
尋常性白斑の主な治療法
◇色素が作られなくなる
皮膚にはメラノサイト(色素細胞)という細胞があり、紫外線から皮膚を守るためにメラニン色素を作っている。尋常性白斑では後天的にメラノサイトが減少・消失して色素が作られなくなり、皮膚の色が白くなる。
主に、症状が全身に生じ得るタイプ(非分節型)と局所に生じるタイプ(分節型)がある。「顔や首、腕などの露出部に起こると正常な皮膚とまだらのようになり、患者が見た目を気にして生活の質が著しく低下する問題が生じます」と大磯教授。男女による発症頻度の差はあまりなく、年齢も小児から中高齢者まで広く起こる。
「原因は未解明な点もありますが、紫外線の影響など何らかの理由でメラノサイトが変質し、本来、ウイルスなどから体を守る働きをする免疫細胞がそれを敵と見なして攻撃した結果、メラノサイトが障害されると考えられています。こうした過剰な免疫反応が起こりやすい遺伝的因子も見つかってきています」
◇新たな治療も登場
治療には薬物療法、光線療法、皮膚移植などの外科的治療がある。薬物療法はステロイド外用薬が用いられる。保険診療外だが、免疫の働きを抑制する外用薬(タクロリムス)や活性型ビタミンD3外用薬も用いられる。
光線療法は、特定の波長の紫外線を皮膚に照射して色素の再生を促す。機器のある医療機関に通院して治療を受ける。
これらの治療で十分な改善が無ければ、皮膚移植が検討される。近年、自身の健康な皮膚を採取して培養し、メラノサイトとケラチノサイト(体を外部環境から守ったり水分を保持したりする細胞)を豊富に含む細胞シート「ジャスミン」を作成して移植する治療が登場した。
「従来の方法に比べて採取する正常皮膚もごく少量で済み、再生効果も高いと考えられる治療です。まだ実施できる医療機関は少ないですが、今後、保険適用になれば、患者さんには朗報となるでしょう」。移植術は皮膚の脱色範囲がそれ以上は広がらずに安定した非進行期に行う。治療効果は高いが、再発も起こり得るという。
「皮膚の色が抜ける病気は尋常性白斑の他にもあり、適切な診断の上で治療することが重要です。皮膚科専門医を受診し、それでも診断と治療が難しければ、地域の中核病院を紹介してもらうのがよいでしょう」と大磯教授は話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/03/22 05:00)
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