話題 2024/12/19 05:00
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除雪は豪雪地帯での生活に欠かせないが、糖をエネルギー源として利用する効率が悪い糖尿病患者が行うと作業の負荷で低血糖に陥り、ふらついて屋根から転落するなどの恐れがある。全国有数の豪雪地帯にある魚沼市立小出病院(新潟県魚沼市)の布施克也院長(内科)らに対策を聞いた。
除雪時の低血糖に注意
◇重労働で低血糖に
布施院長らの調査では、同院の糖尿病患者の男性(237人)の85.7%、女性(197人)の61.8%が除雪作業に従事していた。男女合わせて、除雪に当たる人の8.9%が作業中、またはその日のうちに低血糖の自覚があった。中でも、血糖を下げる作用のあるインスリンや飲み薬を使用中の患者で多かった。
除雪作業で低血糖が起こる理由は、重労働で、しかも高齢者が朝食前に行うことが多いためだという。一般に朝食前は、1日の中でも血糖値が低い時間帯。「当地(新潟県)では家族が出勤するときに困らないようにと、朝に高齢者が進んで除雪を行うことが多いです」
◇異常あれば作業中断
同院では糖尿病患者の療養指導として、看護師が普段の生活の様子や症状の変化を聞き、降雪シーズンの初めには除雪時の低血糖の予防と対処法を説明している。
例えば、▽除雪は食事の前ではなく、食後やおやつの後に行う▽汗をかいたらすぐ着替え、水分を補給する▽ふらふらする、動悸(どうき)がする、震える、汗をかくといった異常を感じたら、作業を中断する▽屋根に上がるとき、雪かきをするときは誰かに声を掛けてから行うか、複数人で行う▽インスリンなど、低血糖リスクのある薬を使用している人は主治医から指示を受けるように勧める―といったことだ。
実際に指導に当たる看護師は「朝の除雪が生活のリズムになっている患者さんが多いのですが、じっくり話をすれば理解してもらえます」と話す。困ったときは、積極的に医療者に相談するようにアドバイスしているという。
布施院長は「患者さんに『昨年伝えたからもういい』ではなく、毎年話すことが重要です」と強調する。医師側も、除雪作業を行う患者に対しては低血糖を起こしやすい薬の量を減らすなどの配慮が求められるという。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/01/05 05:00)
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