治療・予防 2025/06/09 05:00
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~カンピロバクター食中毒(信愛クリニック 井出広幸理事長)~
日本心血管インターベンション治療学会(CVIT)に所属する医師が、循環器内科医の志望者の減少に歯止めをかけるため、経済的インセンティブ整備をはじめとする循環器救急の診療体制の維持と人材確保に向けた提言を行った。同学会の京都大学医学部循環器内科講師の山地杏平医師は「循環器救急を担う若手医師や医療スタッフが減少しつつあり、すでに治療成績の悪化が始まっている可能性がある」と警鐘を鳴らす。
京都大の山地杏平講師
◇心筋梗塞の治療成績悪化か
急性心筋梗塞の症例数は年々増加傾向にあり、2023年は4万6597件と、19年比で2250件増加した。それに伴い、カテーテル治療後の死亡数も19年の2583件から23年には3052件へと増えている。高齢で合併症を持つ患者の増加に加え、循環器救急の診療体制の維持が困難になっていることも一因とみられる。
急性心筋梗塞では、病院到着から血流の再開まで90分以内であれば死亡率は4~5%程度に抑えられるが、それを超えると10%近くまで上昇するため、治療は一刻を争う。CVITが実施したアンケート調査によると、急性心筋梗塞患者に対するカテーテル治療を、当直医のみで行っている病院はわずか8%にとどまり、92%の病院では自宅待機中の医師が呼び出されていた。呼び出された医師には30分以内の病院到着が求められる。山地医師は「急性心筋梗塞のカテーテルは危険性が高いので、上手な先生がやることが多い」と話す。
病院ごとのカテーテル治療を担う医師の人数は、「4~7人」が最多の45%を占め、次いで「3人以下」が33%、当直勤務にも余裕があるとされる「8人以上」が最も少ない22%だ。「医師が3人しかいないような病院では、3日に1回以上の頻度で待機や宿直を余儀なくされており、体制の維持が困難になっている」と山地医師。医師へのアンケートでも、約60%の医師が週に1回以上、自宅待機していることが明らかになった。
◇困難な代休取得
カテーテル治療後も、心不全や致死的不整脈などに備えて集中治療が必要になる。山地医師は「現場では、夜間に呼ばれた翌日でも気になって診療を続けている。気合で乗り切っているのが現状だ」と話す。医師へのアンケート結果では、緊急呼び出し後の代休取得について「取れていない」が72.0%、「取れる場合もある」が18.9%で、ほとんどの医師が代休を十分に取得できていない現状が浮き彫りになった。
◇働き方改革が医療体制に影響も
24年4月から医師の長時間労働を改善するための働き方改革の取り組みが始まったが、CVITが病院に対して行ったアンケートでは「働き方改革で診療の質は維持できているか?」との質問に「維持できているが今後は難しい」との回答が最も多い46%、「維持できていない」が10%だった。
岩手医科大附属病院の森野禎浩病院長
◇課題は診療科・地域偏在
CVIT副理事長で岩手医科大学付属病院の森野禎浩病院長は、循環器救急の体制を将来にわたって維持するための課題として「診療科偏在」と「地域偏在」の二つを挙げる。
診療科偏在について、森野院長は「希望の多い科とそうでない科がかなり明確になってきている」と指摘する。12年と20年の医学部卒業者を比較すると、医師数は2678人増え、それに伴い各診療科の専攻者もおおむね増加しているが、循環器内科と外科、心臓血管外科の三つだけが減少した。
(2025/05/27 05:00)
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