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患者の体に入れた内視鏡や器具が接続されているアームを、医師が患部の画面を見ながらハンドルで遠隔操作するロボット手術。最近は、触覚を伝える手術支援ロボットが開発され、より安全で高精度な手術が可能になると期待されている。この機器を使った世界初の手術に成功した東京医科歯科大学病院(東京都文京区)大腸・肛門外科の絹笠祐介教授に話を聞いた。
手術支援ロボット
◇直接操作する感覚
胃がんや大腸がんなどの消化器疾患で手術支援ロボットを使う場合、腹部に開けた複数の小さな穴からアームの先端に取り付けられた内視鏡や鉗子(かんし)などを挿入し、モニター画面で手術部位を確認しながら進める。
同大学病院、東京工業大などが共同開発した手術支援ロボット「Saroa(サロア)サージカルシステム」は、昨年5月に製造販売承認を取得。鉗子で組織などを挟んだときの触覚が指先にフィードバックされるため、執刀医は自分の手で直接操作しているような感覚が得られる。
臓器への負荷を最小限に抑えた手術が可能となり、従来の手術支援ロボットに比べ安全面の向上が期待できるという。
◇脂肪や臓器の違いも
昨年7月、サロアを用いて40代の大腸がん患者に手術を実施。3時間弱で終わり、術後の経過も良好だったことから、翌日には患者が歩行を開始、1週間ほどで退院した。
「印象的だったのは、モニター画面の端に映ったガーゼを取ったときに、手の中にフワッとした感触が伝わってきたこと。脂肪や臓器などの違いも分かるので、執刀医の集中力が途切れたときも安全に手術できると感じました」と絹笠教授。
3次元表示が可能な32型のメインモニターも備えられている。「従来のモニターは執刀医だけが見るものでしたが、この機器では医療スタッフと画像を共有することで、手術中のコミュニケーションを円滑に進めることができます。手術経験の少ない医師や研修医の教育、研修にも役立ちます」
この機器は心臓外科を除く胸部外科、一般消化器外科、泌尿器科、婦人科で使用が可能だ。絹笠教授は「今後、さらに改良を加えながら臨床研究を進めて普及を図りたい」と話している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/05/27 05:00)
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