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トゥレット症は、奇声を発する、首を振るといった行為を無意識に繰り返す病気だ。日常生活に支障が及ぶことや周囲から奇異の目で見られることがあり、本人の自己評価を大きく下げる。東京大学医学部付属病院(東京都文京区)こころの発達診療部の金生由紀子部長は「周囲の人は、さりげなく見守ってください」と話す。
トゥレット症
◇4~6歳で発症
トゥレット症の症状には、まばたきを繰り返したり首を頻繁にかしげたりする「運動チック」と、喉を鳴らす、その場と無関係に「クソッ」と暴言を吐くなどの「音声チック」がある。運動チックで自分自身をたたいてしまうことや、物を放り投げることもある。
子どもの1%近くがトゥレット症と推定されている。運動・音声チックが両方とも1年以上続くのが特徴で、4~6歳くらいで表れ、10~12歳前後で最も症状が強くなる傾向がある。
発症の仕組みは未解明だが、「親の育て方や本人の性格の問題ではなく、発達の過程で脳内の神経伝達がアンバランスになっていると考えられます」。特に、脳で運動をつかさどる部位や感覚情報を処理する部位に不具合があるとされる。
◇薬で症状和らぐ
必要に応じて児童精神科などで診療を受け、適切な薬を服用すると神経伝達が調整され、症状を和らげることが可能という。
薬物療法と並行して、症状をコントロールする工夫が重要となる。「『チックが出てはいけない』と思い過ぎると、かえって強まるものです。本人が学校生活・社会生活を送れるよう医師も支援します。心理学の専門職やソーシャルワーカーなどとの連携もできます」
こうした対応で、患者の3分の2は、若年成人になるまでに症状が軽快または消失するとされる。「症状があっても、生活に大きな支障はなくなるでしょう」
保護者に対しては、「自分を責める必要はありません。親が動揺すると子どもに影響が出かねないので」と金生部長は助言する。小学校高学年になると症状が強まりがちだが、「チックが悪化しないような対策と、症状が出てもできることを本人と一緒に考え、この時期をしのぎましょう」。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2024/07/18 05:00)
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