2024/11/13 05:00
「おひとりさま」の効用~ポジティブな孤独
「思いやりのない夫、うんざり。変えるにはどうすればいいでしょう?」という相談をよく受けます。具体的にどんなふうに思いやりがないのかをお聞きすると、次のようなケースが多いです。
風邪を引いて発熱し、寝込んでいる妻を見ても、夫は妻の体調を気遣う言葉をかけず、「俺の食事は自分で買ってくるから心配しないように」と恩着せがましく言い、自分だけで食事を済ませるといったものです。妻の食事や体調には全く気遣わず、自分の食事を自分で済ませることをさもすごい事をしているように考える夫に、妻はがっかりします。妻が「自分はいったい何なのだろう」と思うのは当然でしょう。
夫は、自分はしてもらうだけで、妻のために何かをするという考えが浮かばない状態です。昭和の時代に「私作る人、僕食べる人」のようなCMがありましたが、令和になっても同じ情景が繰り返されています。こんな夫を変えたいと思うのは妻として当然ですが、残念ながら、自分以外の他人を変えようとしても無理なのです。方法は一つ、夫ではなく自分の夫に対する態度を変えることです。
思いやりのない夫に悩んでいる女性は多い(イメージ図)
◇してあげる習慣が育っていない
それにしても、夫は冷たく思いやりのない人間なのでしょうか? いえ、そうとは言えません。いつも人からやってもらう人生を生きてきた人は、男女を問わず人にしてもらうことに慣れていて、人にしてあげる習慣が育っていないことが多いのです。思いやりのない夫の相談が多いのは、男性が子どものころは母親に何でもやってもらい、仕事場でも女性に雑用などをしてもらい、結婚しても家事などを妻に何でもやってもらうことが当然だと感じていることが影響しているはずです。
ですから、思いやりのない夫を変えるには妻の態度を変えることが最大のポイントになります。興味深いのは、思いやりのない夫に悩んでいるという相談をする女性は、多くの場合、何でもよく気が付く「いい妻」であったり、看護師・保健師など人のケアをする仕事を持つ方だったりします。普段から人に対する配慮をする習慣が付いているために、家族に対しても細かい配慮をしている可能性があります。そのため、夫は常にしてもらうことに慣れて、それが当たり前になり、自分が相手に何かをするという発想がない可能性があります。
◇してほしいことを伝える
相手が何をしてほしいかを想像したり配慮したりする妻は、自分が配慮ができるので、夫を含め人はみな相手のことを思いやる行動を取るものと考えがちです。しかし、これは間違いです。思いやりや配慮の習慣が育っていない人には、思いやりの行動は取れないのです。それをしっかり認識し、何をしてほしいかを夫に言葉で伝えることが必要です。
夫は妻が何をしてほしいかを想像することができません。風邪を引いて体調が悪いので、食欲がなく、いつものようには動けないと伝え、必要なものをリストアップして買ってきてほしいと頼んでください。普段からよくできた「いい妻」である場合、特に夫は妻がいつも元気で、いつも自分に何かしてくれる存在だと思っている傾向があります。黙っていても夫は自分が何をすればいいかが分からないものです。してほしいことを伝える積み重ねが、夫を変えることにつながるはずです。(了)
(2024/07/10 05:00)
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