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2015年、ロシアの国ぐるみのドーピングが発覚し、スポーツ界に大きな衝撃を与えた。16年のリオデジャネイロ・オリンピックでは同国の陸上や重量挙げの選手の出場が禁止された。国際オリンピック委員会(IOC)は17年12月の理事会で、18年2月開催の平昌(ピョンチャン)冬季五輪についてもロシア選手団としての出場を認めないことを決めた。
ロシアの場合は意図的で悪質な行為だが、怖いのは「うっかりドーピング」。市販の風邪薬や胃腸薬、サプリメントなどに含まれる禁止物質に対する知識や情報の不足が原因で検査で陽性になると、選手生命の危機を招く恐れもある。16年に岩手県で開催された国体では、選手が初めてドーピング検査で陽性とされた。
日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は09年、日本薬剤師会の協力を得てアンチ・ドーピングに特化した薬剤師である公認スポーツファーマシストの認定制度を始めた。これまでに認定されたのは約7900人。20年の東京オリンピック・パラリンピックを控えスポーツに対する関心が高まる中で、選手らの心強い味方として存在感を増しそうだ。
◇トップアスリートに抜き打ち検査
JADA専務理事の浅川伸氏は「24時間、365日態勢でドーピング検査を実施している」と強調する。個人種目競技会の上位入賞者はもちろん、サッカーやバレーボールなどの集団競技では2~3人の検査対象者をくじ引きで選ぶ。さらに、JADAまたは国際競技団体の検査対象者リストへ登録されたトップアスリートには競技会外の事前通告なしの抜き打ち検査があり、四半期ごとに3カ月分の「居場所情報」を提出しなければならない。居住地やトレーニングの場所、競技会などに加え、ホテルの部屋番号なども含まれるという徹底ぶりだ。
10月に東京都内で開かれた公開講座に、ノルディックスキーの複合で活躍し、現在はスポーツキャスターを務める荻原次晴さんと、シドニー・オリンピック競泳の銀メダリストで引退後、水泳指導に当たる中村真衣さんが講師として出席した。2人が語ったドーピング検査にまつわる思い出話は興味深い。
(2017/12/17 16:00)
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