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軽く尻もちをついただけで背骨の一部がつぶれてしまう脊椎圧迫骨折。主な原因は骨粗しょう症で、自然に治る人もいるが、神経まひが生じることもある。杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)整形外科の市村正一教授は、「女性ホルモンの分泌低下で骨がもろくなっている閉経後の女性は要注意です。骨密度などの検査を受け骨粗しょう症と診断されたら、症状がなくても治療を始めることが大切です」と注意を促す。
◇軽い負荷でも骨折
痛みは通常、骨折した位置より下部の腰や臀部(でんぶ)に表れる。安静にしていると症状は和らぐが、体を動かした途端痛みに襲われる。市村教授によると、高齢者の急な腰痛のほとんどは、この脊椎圧迫骨折が原因だという。
自然治癒する人がいる一方、放置して骨の変形が進むと、背中が大きく曲がってしまうこともある。背骨の中を通る脊髄神経が圧迫されると、足のしびれや尿が出にくいなどのまひ症状が数カ月後に生じることもある。
◇保存療法や手術で対応
治療の原則は保存療法だ。コルセットやギプスで患部を押さえ、骨の変形を防ぎながら歩行訓練をする。3カ月程度で改善することが多いが、痛みが続いたり、まひ症状があったりすれば手術も検討することになる。
最近、よく行われる手術法が「バルーン椎体形成術(BKP)」だ。背中の左右5ミリほどを切開し、針を挿入する。背骨の中で風船を膨らませ、骨折でつぶれてしまった部位を押し広げて骨セメントを詰める。1時間ほどで手術は終わる。切開幅も小さいので体への負担が少ない。
一方、神経まひがある場合は、チタン製の金属で骨折部位を固定し、脊髄神経への圧迫を取り除く固定術が行われる。切開幅が大きく、手術も数時間に及ぶ。
女性では65歳、男性では70歳を超えると圧迫骨折が起こりやすくなるという。「骨粗しょう症は痛みがないので発見が遅れ、治療もおろそかになりがちです。診断されたら薬物治療を怠らないこと。骨折してしまった場合も、放っておくと次から次に骨折が連鎖する傾向があるので、早めに保存療法などを受け、重症化を防いでください」と市村教授は呼び掛けている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/07/18 17:02)
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