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足の付け根がぽっこり腫れ、痛みがないので放置していたらどんどん大きくなってきた。そう言って外来に来られる方がよくいます。足の付け根の腫れは「鼠径(そけい)ヘルニア」と呼ばれる病気かもしれません。きっちり治療しないと、時に重症化して危険なこともあります。今回は、この「鼠径ヘルニア」について、分かりやすく解説します。
なお、今回は成人の鼠径ヘルニアについて述べます。小児と成人では生じる原因やその対応は異なりますので、ご注意ください。
◇「脱腸」と呼ばれる病気
「足の付け根が腫れてきた、がんかもしれない」と言って慌てて病院に来る方がいれば、「痛みも何もないので放置していた」と言って握りこぶしくらいの大きさになるまで放置する人もいますが、鼠径ヘルニアは、足の付け根の腹壁(おなかの壁)の隙間から腸がはみ出る病気です。
はみ出る(脱出する)腸管は、小腸のこともあれば、大腸のこともあります。また、足の付け根のことを「鼠径部(そけいぶ)」と呼び、臓器が本来納まっているべき場所から脱出することを「ヘルニア」と呼ぶため、「鼠径ヘルニア」という病名が付いています。鼠径部がぽっこり腫れ、軽症の場合は触るとやわらかいのが特徴です。
人によっては、陰嚢内に腸管が脱出し、陰嚢の片側が大きく膨れ上がる人もいます。
◇どんな症状?
鼠径部や陰嚢が、小さい時はピンポン球くらいの大きさに、大きくなると握りこぶしくらいの大きさまで腫れます。また、歩行時などに違和感や痛み、不快感を生じます。立つと重力によって腸管が降りてきて膨らみが大きくなり、寝ると小さくなる、あるいは膨らみがなくなる、というケースもあります。
腹壁の隙間を腸管が容易に行ったり来たりできるケースでは、膨らむたびに自分で押し戻している、という人もいます。ヘルニアの膨らみを元に戻すことを「還納(かんのう)」と呼びます。
(2018/09/19 10:41)
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