治療・予防

字が下手になったら要注意
頸椎症性脊髄症

 老化で首の骨が変形すると、思わぬ症状が表れることがある。箸が使いづらい、字が下手になった、歩いていると足がもつれるなどの症状だ。骨の変形自体は老化現象の一つで病気ではないが、頸椎(けいつい)の中の脊髄を圧迫してさまざまな症状を引き起こす「頸椎症性脊髄症」を招く可能性がある。神戸労災病院(神戸市)の鷲見正敏院長に話を聞いた。

 ▽頸椎の変形が原因

細かい作業などに不安が

 頸椎は、七つの椎骨が等間隔に並び、自然な曲線を描いているのが通常の状態だ。ところが、年を取るとともに椎骨と椎骨の間にある椎間板が弾力を失い、椎間が均一でなくなり、椎間板や椎骨が突出して変形するようになる。このような頸椎の年齢的な変化を「頸椎症」と呼んでいる。

 脊髄は脳と並ぶ中枢神経系の一つで、感覚の刺激を脳に伝え、脳からの指令を手足の筋肉に伝える重要な役割を果たしている。

 そのため、頸椎の変形によって脊髄が圧迫されてダメージを受けると、ボタンの止め外しが難しくなるなど指先の動きがぎこちなくなり、手足にしびれやまひが表れてくる。重症化すると排尿・排便がしづらくなる「ぼうこう直腸障害」や歩行障害が発症することもある。

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