治療・予防

脳か耳か原因特定を
~めまい、ふらつき(目白大学耳科学研究所クリニック 伏木宏彰院長)~

 多くの人が一度は経験するめまいやふらつき。一過性で健康リスクが少ないケースもあれば、脳や耳に重大な病気が隠れているサインのこともある。めまいやふらつきの専門医療チームを置いている、目白大学耳科学研究所クリニック(さいたま市岩槻区)の伏木宏彰院長に聞いた。

めまい、ふらつきは重大な病気のサインのことも

 めまいは危険信号

 「ぐるぐる回る」「ふわふわする」「足元がふらつく」「視界が暗くなる」など、めまいの症状や感じ方はさまざま。発作性の急性めまいと、体が浮くように感じる浮動性のめまいが続く慢性めまいに分かれるという。

 急性めまいの他に、頭痛や首の後ろの突発的な強い痛み、意識障害、ろれつが回らない、手足のしびれなどの症状もあれば脳卒中が疑われ、脳神経内科や救急外来の受診が必要だ。特に60歳以上の人、高血圧糖尿病のある人は危険度が高い。

 一方、それらの症状がない急性めまい、または慢性めまいであれば、早めの耳鼻咽喉科受診が望ましい。「めまい全体の6割が末梢(まっしょう)性めまいで、耳鼻咽喉科で治療を行います」

 末梢性めまいとは、耳の奥にあり聴覚と平衡感覚をつかさどる内耳(ないじ)や、内耳と脳をつなぐ前庭神経に、炎症などの異常が発生している状態。メニエール病や前庭神経炎、良性発作性頭位めまい症、突発性難聴などが考えられる。

 なお、脳卒中脳腫瘍など脳の病気によるめまいは1割、血圧貧血、循環器や内分泌、精神疾患などに起因するめまいは3割を占める。

 めまい相談医を受診

 同クリニックでは、問診により耳の聞こえ具合や頭痛の有無を確認し、目の動きに関する検査で原因を特定する。専門医に加え、めまいに精通した看護師、臨床検査技師、臨床心理士、理学療法士、言語聴覚士によるチーム診療を行う。

 治療は以前は薬物療法を中心としていたが、現在は平衡機能を改善させるための理学療法も取り入れており、病気により治療選択肢は異なるという。

 「長年めまいに悩む患者さんの多くは、恐怖感や不安感で外出や家事、仕事などができなくなる場合があります。当クリニックでは、そうした悩みを緩和するためのアドバイスも行っています」

 また、スマホ用アプリも開発。めまいが起きたときの目の動きを患者自身が撮影し、専門医に見せることでより適切な診断や治療に役立てられるという。

 「3カ月以上続くめまいや、夜道や家事中のふらつきがあれば、日本めまい平衡医学会のホームページに掲載されている『めまい相談医』のいる耳鼻咽喉科などを受診してほしい」と伏木院長はアドバイスしている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)

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