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高齢になると、眠れない、夜中に目が覚める、といった悩みが増えてくる。こうした高齢者の睡眠障害は認知機能の低下と関係している可能性もある。日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)精神神経科の金森正医師に話を聞いた。
昼夜逆転するケースも
▽悪夢で大声も
年齢とともに睡眠は変化するが、高齢者の睡眠時間は若者より1時間程度短くなる。さらに、認知症を発症すると、日中に眠気を感じたり、夕方や夜間に興奮して動き回ったり、障害の症状が目立つようになってくる。
認知症患者の中で睡眠障害が表れやすいのは、脳に発生した特殊なタンパク質が神経細胞を壊す「レビー小体型認知症」だ。人に襲われる夢を見て大声を出す、乱暴な行動をすることもあるなどの「レム睡眠行動障害」と呼ばれる症状が初期から表れる。
認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症でも、患者の脳に沈着する「アミロイドβタンパク」と睡眠の関係が注目されている。動物実験では長期の睡眠不足がその沈着を促進する他、人間では髄液中に含まれるアミロイドβの濃度が睡眠を取った後に低下することが報告されている。金森医師は「睡眠不足は心身すべてに負担をかけるので、認知症のリスクだけにとどまるものではないでしょう」と話す。
▽昼間の活動重要
認知症患者が夜十分眠れず、昼夜逆転すると、介護する家族にも影響する。ただ、眠くないのに布団に入る習慣や、寝る時間を早くし過ぎることは、かえって寝付けなくしてしまう。
睡眠障害を予防するためには、日中、自然光をよく浴びて脳の働きを活発にして、意識をできるだけはっきりさせることだ。昼間はできるだけ体を動かし、程よい疲れとともに眠気を感じてから布団に入るようにするとよい。
一般的な不眠治療で使う睡眠薬や抗不安薬は、代謝機能が低下している高齢者では翌日になってやっと効き始めることもある。ふらついて転倒する危険性もあるため、日中の様子を観察し、適切な使用かどうか見極めることが必要だ。金森医師は「『寝かせきり』にするのではなく、より健康的に起きている状態をつくることが、望ましい睡眠リズムの維持につながります」としている。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2018/12/27 06:00)
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