2019/01/08 06:00
(第12回)高齢者に食事指導をする重要性
低栄養が要介護に至らないために
日本興業銀行取締役、みずほ信託銀行副社長などを歴任された関原健夫氏(故人)は1984年、39歳の時に進行した大腸がんであると宣告されて以来、肝転移・肺転移と見舞われ6回のがん手術を受けました。加えて心臓バイパス手術を経験し「患者のプロ」と呼ばれていました。その闘病の経験から、「日本対がん協会」常務理事や政府の「がん対策推進協議会」委員として「がん対策推進基本計画」にも参画し、患者の立場から日本の医療体制の整備に尽力されました。
故・関原健夫氏
◇がんと闘う活力
関原氏は時にはグローバルまで視点を広げて俯瞰(ふかん)し、時にはご自身の闘病経験も含めながら患者の立場で、医療ビジネスや医療制度についてさまざまに語られ、多くの示唆を与えてくださいました。非常に献身的でパワフルな行動力は晩年も顕在で、「本当に6回も手術されたのだろうか」と疑ってしまう程にエネルギッシュで、その姿からビジネスパーソンとしての心得を学ばせて頂いたように感じています。本コラム執筆にあたり関原氏に「患者のプロ」としてのお話を伺いたいとご相談していた昨年11月末、虚血性心不全のため73歳で急逝されました。
関原氏のキャリアは常に闘病と共にあったと言えます。2003年執筆された著書「がん六回 人生全快 現役バンカー16年の闘病記」では冒頭で次のように記しています。
『がんとの闘いで最もつらく厳しいのは、転移・再発に見舞われた時である。転移・再発を繰り返しながら、定年まで仕事を続けたサラリーマンの闘病記は、私の知る限りあまり存在しない。<略> 日本では病人は仕事を休んで病の回復に専念するのが常識でそれがまた病人のためによいとされ、特に企業社会ではしばらく閑職に置くのが一般的である。しかし、がんは決して安静にしていれば治る病気ではなく、むしろ患者が使命感や生きがいをもって立ち向かうことが大切である。私はそれを身をもって体験した。企業の経営陣や人事責任者にこの点を理解していただければ、がんにとどまらず、病と仕事の板挟みに苦しむ多くのサラリーマンの役に立つはずである。』
(2019/02/05 06:00)
2019/01/08 06:00
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