2019/02/05 06:00
「患者のプロ」からのメッセージ
がん手術6回、定年まで現役
急速に進む高齢化は、さまざまな形で医療に影響を及ぼします。医療費抑制という「お金」の問題がクローズアップされがちですが、医師による診療のあり方にも変化が求められています。
今回は歯科医師に焦点を当てます。近年、オーラルフレイル(口腔機能低下症)への対応など、高齢化社会における歯科医師の役割が注目されています。大阪府内で歯科クリニックを展開する医療法人靖正会で分院長を務める黒岡建志先生に歯科医師・歯科クリニックはどのような取り組みをしているのか、お話しを伺いました。
◇歯科医師が自ら外へ
--高齢化の進展に伴い、歯科医師や歯科クリニックに求められる役割は変化するのではないかと思います。今後、求められる役割をどのようにお考えですか。
--「歯科医師が自ら外に出る」という表現が印象的です。医療法人靖正会は具体的にどのようなことに取り組んでいますか。
黒岡 2017年10月から、法人として歯科訪問診療を開始しました。高齢者の患者さんに対する摂食嚥下(えんげ)の支援に力を入れています。患者さんの機能の維持・回復を目指すことはもちろんですが、患者さんに食べる喜びを感じてもらうことを重視しています。おいしいものを食べて幸せな時間を持ってもらい、健康寿命を少しでも長くしたいと思いながら取り組んでいます。
◇求められる新たな学び
--歯科訪問診療の取り組みを進める中で、認識されている課題はありますか。
黒岡 訪問診療における高齢患者さんへのアプローチは、歯科クリニックにおける相対的に若い世代の患者さんへのアプローチと全く異なります。このため私自身、歯科医師として新たな知識や技術を習得することが求められています。学生・研修医時代に習得した知識や技術だけでは不十分で、プラスアルファの勉強が必要です。これは法人を挙げて取り組まなければならない課題であると認識しています。
--黒岡先生が認識されている課題を乗り越えるに当たり、どのような支援があれば良いとお考えですか。
自身の専門外の知識が十分ではなく、多職種のコミュニケーションがスムーズに進まないことがあります。そこで、例えば国が多職種合同の勉強会を企画し、各領域の専門家同士が互いの知識や技術について理解を深める場があればいいと思います。在宅医療を推進する国としても、そこに投資する意味はあると思います。
(2018/11/03 16:00)
2019/02/05 06:00
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