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2016年の国内がん死亡者数で肺がん、大腸がんに次いで多かった胃がん。ヘリコバクター・ピロリ菌の感染や塩分の取り過ぎなどが原因とされる。国立がん研究センター社会と健康研究センター(東京都中央区)の津金昌一郎センター長は「ピロリ菌に感染していて高塩分食を取る人ほど胃がんの発生率は高くなります」と注意を促す。
ピロリ菌感染と高塩分食は胃がんのリスク
▽高塩分で胃に炎症
ピロリ菌は胃がん患者のほとんどが感染しているといわれる。感染者すべてが胃がんになるわけではないが、高塩分の食事や喫煙、野菜・果物不足など他の要因が加わると発生が促進されるという。国立がん研究センターの研究で、タラコやイクラ、塩辛、練りウニなど塩分濃度の高い塩蔵食品を毎日のように食べている人は、食べていない人に比べ、胃がんのリスクが約2~3倍高くなることが分かっている。
津金センター長は「高塩分食をよく食べる人はピロリ菌感染率が高いというデータもあります。胃の粘膜は粘液で保護されていますが、高塩分食品を習慣的に取っていると、その粘液が破壊されたり、性状が変化したりして、炎症を起こし、ピロリ菌が入り込みやすくなります。慢性胃炎の状態が続くと、がんを発生しやすくなります」と説明する。
ただ、慢性胃炎で胃の粘膜が萎縮して薄くなると、ピロリ菌はすめなくなり、検査でも陰性と判定されるが、胃がんのリスクを高めるため注意が必要だ。
▽検診必要ない人も
検診はリスクに応じた個別対応が重要だ。「40代以降で過去に1度もピロリ菌の感染歴がなければ、今後10年は胃がんのリスクはほぼないので、必ずしも検診を受ける必要はありません」と津金センター長。ピロリ菌検査が陽性だったら、医師と相談の上で除菌療法を行い、定期的に胃がん検診を受けることが勧められる。陰性でも萎縮性胃炎があったら検診は重要だ。
検診は胃がんの死亡リスクを減らすことが最大の目的だ。さらに、津金センター長は「胃がんを含めたさまざまな病気を予防するため、禁煙や減塩、野菜や果物をたくさん取るといった生活習慣の改善が大切です」と強調している。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/01/22 06:00)
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