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糖尿病の治療では血糖値のコントロールが重要であり、指先穿刺(せんし)により血糖値を患者自ら測定する機器が普及している。測定時に毎回針を刺す必要がなく、リアルタイムで血糖値とその推移を確認できる新たな測定器が登場し、注目されている。東京慈恵会医科大学付属病院(東京都港区)糖尿病・代謝・内分泌内科の西村理明准教授は「従来の課題だった、治療による低血糖や、血糖値の変動を減らすことができるようになります」と指摘する。
パッチ式センサーを貼り付けて間質液のブドウ糖濃度を測定する「FGM」
▽高血糖も低血糖も最小限に回避
糖尿病の治療で、薬が効き過ぎて低血糖になると、意識が低下するなど命に危険が及ぶ場合がある。西村准教授は「高血糖も低血糖も避け、血糖値がなだらかに推移することが望ましい」と指摘する。
その推移を知る一助となるのが、血糖値の自己測定だ。現在の主流は、指先に針を刺して採血する測定器。しかし、針の痛みによる患者の負担は大きく、測定をやめてしまって血糖管理が不十分になるケースもある。また、「仮に1日4回測定しても、その4回だけで1日の血糖値の変動の全容を推測するのは難しい」と西村准教授。
▽痛みなく14日間連続測定
そうした中、皮下に刺した短いセンサーで、血液ではなく、間質液(細胞周辺の体液)のブドウ糖(グルコース)濃度を連続的に測る測定器「フラッシュグルコースモニタリング(FGM)」が2017年に保険適用となった。直径3.5センチの円盤状のパッチ式センサーを上腕に貼り付けると、皮膚にごく細い糸状の樹脂が挿入され、14日間連続して測定できる。貼り付け時の痛みはほぼない。
血糖コントロールのポイント
手のひら大の読み取り装置をセンサーに近づけると、測定値が表示される。この値は血糖値と相関しており、1日を通した血糖値の上昇や低下などの傾向を把握できる。インスリン治療を受けている糖尿病患者などでは保険が適用され、患者の負担額は従来法の最高額と変わらない。
海外の研究では、FGMは従来の測定器よりも低血糖の頻度や時間を減らしたと報告されている。西村准教授は「血糖値の変動に合わせて薬の量を調節するなど、患者に適した治療を行うのに役立つ」と期待感を示す。ただし「良かれと思って自己判断で薬を調節し、かえって血糖値の変動を大きくしてしまう方がいます。過度に数値に振り回されないで、よく主治医と相談してほしい」と付け加えた。(メディカルトリビューン=時事)(記事の内容、医師の所属、肩書などは取材当時のものです)
(2019/03/03 06:05)
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