治療・予防 2025/06/09 05:00
肉料理は加熱
~カンピロバクター食中毒(信愛クリニック 井出広幸理事長)~
新年度に入って子どもが保育園に通い始めると、子どもや保護者が次々に感染症にかかり、保育園や仕事を休まざるを得なくなる。近年、こうした状況はSNSを中心に「保育園の洗礼」と言われている。小児科医らに子どもの感染症対策について話を聞いた。
◇8割「保育園休ませた経験ある」
この言葉は、子どもが風邪などの感染症にかかり、入園後しばらくの間、休みや早退を繰り返すことを指し、多くの親が自身の体験談などをSNSに投稿したことで認知度が向上した。大正製薬の調査では、「聞いたことがある」と答えた人は2025年は78.0%で24年(71.8%)よりも増えた。
同社の担当者は「特に働く母親は有給休暇が足りなくなるなど、仕事に支障が出ることも多いため、共感する人も多い」と話す。その上で「ここ数年、メディアで取り上げられていて、知っている人は今後さらに増えていくと予測される」と分析する。
大正製薬のアンケート調査から
「子どもを保育園に通わせ始めた4~6月に風邪を引いて保育園をお休みさせた経験はあるか」という問いには、24年、25年ともに約8割が「経験がある」と答えた。症状は鼻水が最も多く、次いで発熱、せき、喉の痛みの順で、休む日数は両年とも「3~4日」が最も多かった。こどもとおとなのクリニック パウルーム(東京都港区)の黒木春郎院長は「乳幼児は免疫機能が未熟なため、集団保育の保育園は一番感染しやすい」と話す。
黒木医師は風邪の定義について「ウイルスによる上気道への感染」と説明。「上気道か下気道かで違いがあり、上気道はコンコンというせきで、ゴホゴホとたんが絡むせきは下気道。ゴホゴホの場合は単なる風邪ではない」と話す。
◇乳幼児は常に感染症のリスク
23年に育児休業から復帰後、保育園の洗礼を経験したという大正製薬セルフメディケーション研究センターの井上瑞菜さんは、子どもが保育園に通い出した同年春から秋ごろまで、子どもの鼻水やせきの症状が止まらなかったという。自身も風邪をうつされ、「風邪薬を飲んで子どもの看病をしていた。子どもが熱を出すと保育園に行けないので、会社も休まざるを得ない」と語る。
井上さんの場合、入園してから秋ごろまで月に1度くらいの頻度で小児科に通っていた。保育園の洗礼はSNSで知ったという。
黒木医師は「感染するリスクは常にある。家庭で何ができるかと言えば、ワクチン接種をきちんとやることだ」と強調する。その上で「感染症にかかっても重症にならないことを目標にするのがいい。軽い風邪を繰り返すぐらいの気持ちでいれば大丈夫」とアドバイスする。免疫を獲得する5歳ごろになると風邪を引きにくくなる。
◇アレルギー体質なら重症化も
また、アレルギー体質の子どもは重症化しやすいとされる。同医師は「親にぜんそくやアレルギー性鼻炎などアレルギー体質があると、子どももアレルギー体質を持っているので、症状を繰り返すし、気管支炎になることもある。その場合は気管支ぜんそくも考慮した治療を行う」と話す。
受診のため病院に行き、別の病原体などをもらってくるケースもある。黒木医師はそうした場合に備えてオンライン診療を勧める。「急性感染症で画面上で診断できる範囲ならオンラインがいい。かかりつけの医者がオンライン診療をやっていれば一番いい」という。
国立健康危機管理研究機構の調査では、子どもの感染が多い咽頭結膜熱やヘルパンギーナ、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎はコロナが流行していた時期(20年~22年)には報告数が少なかったが、5類に移行した23年ごろに増加。RSウイルス感染症や手足口病は21年以降、報告数が増えている。
年齢に関係なく発生しやすいインフルエンザやマイコプラズマ肺炎についても20年は報告数が少なかったが、インフルエンザは23年、マイコプラズマ肺炎は24年に報告数が増加している。黒木医師は「コロナの頃はあらゆる感染症が減った。人の行き来がないと感染は広がらない」と話す。
(2025/05/26 05:00)
治療・予防 2025/06/09 05:00
肉料理は加熱
~カンピロバクター食中毒(信愛クリニック 井出広幸理事長)~
治療・予防 2025/06/09 05:00
知っておきたいリスク
~タトゥーと除去治療(近畿大病院 大塚篤司主任教授)~
治療・予防 2025/06/06 05:00
命に関わる遺伝性血管性浮腫
~低い認知度、発作への備え重要~