食道とは 家庭の医学

 食道は口(正確には下咽頭〈かいんとう〉)と胃をつなぐ臓器で、長さは約25cm、門歯(もんし)から約15cmのところから始まり、約40cmで胃に移行します。細長い管のような臓器で、内腔(ないくう)をおおっている粘膜は扁平上皮(へんぺいじょうひ)といって皮膚と同じ種類の細胞です。

 食道壁はほとんどが筋肉でできていて伸縮性に富み、外径は休止した状態で2~3cm程度ですが、大きな食物のかたまりを胃に送り込むことができます。消化吸収するはたらきはありませんが、食道腺から少量の粘液を分泌し、食道壁の不随意的な蠕動(ぜんどう)運動によって食物を胃に送り込みます。このため、横になっていても食事が可能です。この蠕動運動や食道下端の逆流防止機構のおかげで、胃の内容物が戻ってこないようになっています(逆流性食道炎)。食道は頸(けい)部食道、胸部食道、腹部食道の3つの部分からなります。

(執筆・監修:順天堂大学 特任教授〔食道胃外科〕 鶴丸 昌彦)