生活習慣病と脳血管障害〔せいかつしゅうかんびょうとのうけっかんしょうがい〕

 脳血管障害は70歳未満の高齢者の寝たきりの第一の原因で、予防とリハビリテーションはたいへん重要です。若いうちから予防に励むことがいかに重要かは、高血圧で収縮期血圧(上の血圧)が160と120とでは脳血管障害の危険度の差が50歳代、60歳代ではたいへん大きいことからわかります。
 また、この表から治療の意味もわかると思います。50歳代では血圧を10mmHg下げただけで脳血管障害のリスクは半減しますが、80歳代ではほとんど変わりません。

●年齢を考慮に入れた脳血管障害のリスク
収縮期圧120mmHg
のリスク
収縮期圧160mmHg
のリスク
治療後血圧150mmHg
のリスク
50~59歳184
60~69歳2.51610
70~79歳166440
80~89歳64128112
Prospective Study Collaboration, Lancet 360; 1903: 2002より引用改変

 若年期の肥満はメタボリックシンドローム動脈硬化の危険因子ですが、75歳以上では男女とも肥満度は減少し、標準体重未満になっています。
 糖尿病は、2012年の統計で、糖尿病患者950万人の77%が60歳以上となっており、高齢者の病気といっても過言ではありません。高齢期になると糖尿病の合併症が起こりやすく、特にわが国の血液透析の原因の第1位である糖尿病腎症を起こし、白内障、網膜症など高齢期の視力低下の重要な因子となります。さらに糖尿病では、認知症が2倍、転倒骨折も1.5倍にふえることが知られています。
 健康長寿のための高齢者糖尿病の治療としては、以下のことなどを考えましょう。
 ①栄養摂取:たんぱく質、野菜、果物
 ②身体活動:運動、仕事
 ③社会参加:余暇、趣味、ボランティア

(執筆・監修:地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター 理事長/国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター 理事長特任補佐 鳥羽 研二)
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