糖尿病とは 家庭の医学

 糖尿病という病気は、誰でも知っている病気の一つです。アトピーとか、喘息(ぜんそく)とか、花粉症などという名前と同じくらい、誰もが知っている病気の名前です。どういうふうに知られているかというと、血糖が上がる病気だ、たくさん食べるとなる病気だ、太るとなりやすい病気だ、というくらいでしょうか。
 「糖尿病はインスリンの作用不足に基づく慢性高血糖状態を主徴とする代謝疾患群である。その発症には遺伝因子と環境因子がともに関与する。代謝異常の長期間にわたる持続は特有の合併症を来たしやすく、動脈硬化症をも促進する。代謝異常の程度によって、無症状からケトアシドーシスから昏睡に至る幅広い病態を示す」と日本糖尿病学会糖尿病診断基準検討委員会の報告書(2010年)に、糖尿病の疾患概念を書いてあります。
 表に、糖尿病の特徴をまとめました。

 厚生労働省は国民栄養調査に合わせて、数年に1回、糖尿病実態調査をおこなっています。
 2019年の糖尿病実態調査を見ると、「糖尿病が強く疑われる人」(糖尿病の人と考えてよい)は推定1196万人、「糖尿病の可能性を否定できない人」(糖尿病の一歩手前の人、予備群)は推定1055万人、合計2251万人が糖尿病またはその予備群であると推計されました。これは生まれたばかりの子どもたちも含めて5~6人に1人が糖尿病またはその予備群であることを意味しています。特に糖尿病の発症しやすい年齢である中年以降に限れば、その比率はさらに高くなります。

(執筆・監修:東京女子医科大学附属足立医療センター 病院長/東京女子医科大学 特任教授 内潟 安子)
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