高血圧〔こうけつあつ〕 家庭の医学

 高血圧症は、血圧値によって表のように分類されます。

●成人における血圧値の分類
分 類診察室血圧(mmHg)
収縮期血圧
(最大血圧)
拡張期血圧
(最小血圧)
正常血圧 <120 かつ <80
正常高値血圧120~129かつ<80
高値血圧130~139かつ/または80~89
Ⅰ度高血圧140~159かつ/または90~99
Ⅱ度高血圧160~179かつ/または100~109
Ⅲ度高血圧≧180かつ/または≧110
(孤立性)収縮期高血圧≧140かつ<90
(日本高血圧学会 編:高血圧治療ガイドライン2019, p.18より引用改変)

 通常、診察室で測定した収縮期血圧が140~159、拡張期血圧が90~99mmHgの範囲の高血圧をⅠ度高血圧と呼び、高血圧にもとづく疾患の進展がもっともゆるやかな経過を示しますが、放置してよいということではありません。正常血圧とくらべると、はっきりと脳卒中や心筋梗塞の危険性が高く、10年、20年ののちにはこのような心血管疾患にかかりやすいことがわかっています。
 しかも問題は、このようなⅠ度高血圧の範囲に入る高血圧の人口がきわめて多いということです。たとえ疾患の発症率が、Ⅱ度~Ⅲ度の高血圧にくらべて相対的に頻度が低いとはいえ、国全体からみると何百万何千万人という人たちがこれに相当するということになると、Ⅰ度高血圧といえども、このために心筋梗塞、脳卒中になる人の絶対数が無視するわけにはいかないほど大きくなります。
 また、高血圧だけではなく、動脈硬化になりやすいほかの危険因子、たとえば、高齢者や喫煙、脂質異常症、肥満、糖尿病、尿中微量アルブミン、心筋梗塞、脳卒中の家族歴などが1つ、あるいは2つ3つ同時に存在していると、疾患の発症率は飛躍的に増大します。
 したがって、Ⅰ度高血圧も生活習慣の修正や、それで不十分なら血圧降下薬で十分に管理する必要があるのです。

医師を探す