神経腫瘍〔しんけいしゅよう〕

 縦隔(じゅうかく)には、12対の肋間(ろっかん)神経根部と、自律神経系(交感神経・副交感神経)の本幹が走っていますが、この神経組織から腫瘍が発生することがあり、これを神経腫瘍と称します。
 神経腫瘍にはいろいろな種類がありますが、縦隔に発生する神経腫瘍のほとんどは良性です。組織型はさまざまで、神経鞘腫(しょうしゅ)、神経節腫瘍、神経線維腫などがあります。多くの場合は無症状で、健康診断時に胸部X線写真で異常な陰影がみられて気づかれます。胸部CT(コンピュータ断層撮影)検査やMRI(磁気共鳴画像法)検査の必要があります。
 腫瘍の多くは、発生のもととなった神経組織が多い縦隔の後部、すなわち脊椎(せきつい)骨の付近に存在しています。上述のとおりほとんどは良性腫瘍ですが、ほかの悪性腫瘍との区別がつきにくいこと、また神経路に沿って脊椎腔(くう)内に侵入し、脊髄を圧迫する危険性があるため、多くは手術的切除をおこないます。発生する部位・大きさしだいでは、胸腔鏡やロボット支援下手術による切除も可能です。

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