心音図、ABI・PWV検査

 心音図は、心臓の収縮に伴って弁の開閉や血液の流れによって起こる音と、胸壁の振動とを適当にフィルターで分離して記録するものです。低音や高音に分けて記録することができます。心電図といっしょに記録すると、心臓の電気的な興奮の始まりと、血液の拍出による弁の開閉のずれなどがわかり、また弁が狭くなったり、よく閉まらないときに出る雑音を確かめることもできます。
 これらの雑音は、聴診器でも聴けますが、心臓の収縮のどの部分に一致しているか、あるいはどれくらいの時間続くかなどを正確に知ることができ、病気の種類や重症度を診断するのに役立ちます。この検査法は心エコー図を記録するときに補助として用いられることが多く、単独ではほとんど用いられなくなりました。
 ABI(足関節上腕血圧比)検査は、足くびと上腕の血圧を測定し、その比率(足くび収縮期血圧÷上腕収縮期血圧)を計算したものです。
 PWV(脈波伝播速度)検査は、心臓の拍動(脈波)が動脈を通じて手や足にまで届く速度のことです。これらにより血管の動脈硬化の程度を判定します。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団附属 榊原記念病院 常勤顧問 梅村 純)