核医学検査 家庭の医学

 微量の放射線を出す放射性医薬品(アイソトープ)を体内に注射し、それが心臓に集まるようすを画像にする検査(心筋シンチグラフィ)で、注射をしたあとに専用のカメラで撮影をします。患者さんの体内から出る放射線をカメラがとらえるので、時間をかけるほど鮮明な画像となりますが、撮影に時間がかかっても、被ばくがふえることはありません。また、使用する放射性医薬品は、腎臓や肝臓に影響を与えることがほとんどなく、腎臓のわるい人やアレルギー体質の人でも安心して検査を受けることができます。
 心臓の筋肉に集まる血流や、エネルギーのもととなる脂肪酸、また自律神経の交感神経に集まる物質を見るなど、目的に応じて放射性医薬品を使い分けます。これにより心筋が壊死(えし:死んでしまった状態)したり、血液が足りない状態になっていることや、心臓病によって傷んだ心筋の状態などを見ることができ、急性心筋梗塞狭心症心筋症の診断や重症度を判定することが可能になります。
 特に狭心症の診断のためには、トレッドミル(スポーツジムにあるようなベルトコンベヤー式のマシン)やエルゴメーター(自転車のようなもの)を使って負荷をかけ、実際に狭心症が起こる状態で診断をつけます。なお運動ができない場合などは、血管をひろげる薬を点滴しながら検査をおこないます。
 最近は半導体を用いた装置が登場し、短い時間でより鮮明な画像をつくりだすことができるようになっています。

(執筆・監修:公益財団法人 榊原記念財団 附属 榊原記念病院 副院長/榊原記念クリニック 院長 井口 信雄