ジフテリア〔じふてりあ〕

 ジフテリア菌の感染によって起こり、感染力が強く致死率が高い病気です。予防接種のおかげで、まれな病気になりました。感染した場所によって次のような病型があります。

■咽頭ジフテリア
 菌が扁桃(へんとう)に繁殖した場合で、38~39℃の熱が出て、のどが痛く、くびのリンパ節がはれます。

■喉頭ジフテリア
 呼吸のたびにゼーゼー音がして呼吸が苦しく、顔いろは青白く、冷や汗を出します。犬がほえるようなせきが特徴で、呼吸困難で死亡することがあります。

■鼻ジフテリア
 鼻汁に血液がまじり、鼻がつまります。熱はほとんど出ません。
 かかりやすいのは子どもで、膜のできたところにジフテリア菌が繁殖し、そこで毒素が吸収され、心臓や腎臓、神経をおかすことがあります。神経がおかされたのを“ジフテリア後まひ”といい、発病後、2~3週間で起こります。のどの神経がまひすると、食べ物や水を飲み込めなくなり、また目の神経では斜視や複視になります。ジフテリア後まひは長くなるのはまれで、3週間くらいで回復に向かいます。

 ジフテリアは早く発見し、治療することが大切で、飛沫(ひまつ)感染を予防するために、看護する人はマスクを着用します。もっとも重要なのは予防接種による予防で、現在ジフテリア・百日せき・破傷風・不活化ポリオ四種混合ワクチンを用いて予防接種法による定期接種がおこなわれています。

【参照】子どもの病気:四種混合(DPT-IPV:ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ)ワクチン

(執筆・監修:熊本大学大学院生命科学研究部 客員教授/東京医科大学微生物学分野 兼任教授 岩田 敏)
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