中東呼吸器症候群(MERS)〔ちゅうとうこきゅうきしょうこうぐん(マーズ)〕

 コロナウイルス科ベータコロナウイルス属のMERS(Middle East Respiratory Syndrome)コロナウイルスによる急性呼吸器症候群で、2012年にはじめて確認されました。
 主として中東地域(アラブ首長国連邦、イエメン、イラン、オマーン、カタール、クウェート、サウジアラビア、ヨルダン、レバノンなど)で患者が報告されています。このほか、ヨーロッパ、アフリカ、アジアおよび北米大陸からも患者の報告がありますが、これらはすべて、中東地域への渡航歴のある人もしくはその接触者であることがわかっています。
 ヒトコブラクダがMERSコロナウイルスを保有しており、ヒトコブラクダとの濃厚接触が感染リスクであると考えられています。いっぽう、家族間、感染対策が不十分な医療機関などにおける限定的な人から人感染も報告されています。
 潜伏期は2~14日で、おもな症状は、発熱、せき、息切れなどです。下痢などの消化器症状を伴う場合もあります。MERSコロナウイルスに感染しても、症状があらわれない人や、軽症の人もいますが、特に高齢者や糖尿病、慢性肺疾患、免疫不全などの基礎疾患のある人で重症化する傾向があります。MERSの確定症例としてWHO(世界保健機関)に報告された人のうち、症状が悪化して死亡する割合は約40%とされています。
 おもに、飛沫(ひまつ)感染(せきやくしゃみなどによる)または接触感染による感染であると考えられているので、流行地域においては、せきやくしゃみなどの症状がある人との接触を避け、またラクダとの接触は可能なかぎり避けることが重要です。
 ワクチンや特異的な治療法はありません。
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