腋臭症、多汗症〔えきしゅうしょう、たかんしょう〕

 汗腺には、アポクリン汗腺とエクリン汗腺があります。
 アポクリン汗腺は腋窩(えきか:わきの下)や肛門の周囲に分布し、臭気を含む濃厚な汗を分泌します。アポクリン汗腺が増加した状態が腋臭症であり、独特の刺激臭を放ちます。
 いっぽう、エクリン汗腺は全身に分布し、食塩水に似た汗を分泌します。多汗症はエクリン汗腺の機能亢進(こうしん)であり、腋窩や手掌(しゅしょう)に多くみられます。汗の分泌量が多いものの、臭気は強くありません。

【治療】
 軽度の腋臭症、多汗症では、腋窩を清潔に保ち、発汗作用を抑える塩化アルミ水や抗菌性クリームなどを使用しますが、効果は一時的です。
 腋臭症は手術による治療が有効です。腋窩を切開し、アポクリン汗腺を切除しますが、完全に臭気がなくなるわけではありません。
 腋窩の多汗症にはA型ボツリヌス菌毒素製剤の注射が有効です。ただし、効果の持続期間は3~9カ月です。腋窩と手掌の多汗症には外用薬による治療も有効です(保険適用)。そのほか、自律神経安定薬の内服や交感神経切断術などをおこなうことがあります。

【参照】皮膚の病気:わきが(腋臭症)多汗症

(執筆・監修:埼玉医科大学 教授〔形成外科・美容外科〕 時岡 一幸)
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