性同一性障害〔せいどういつせいしょうがい〕 家庭の医学

 性同一性障害はLGBTのトランスジェンダーに含まれます。トランスジェンダーとは、自覚している性と身体的な性が一致しない状態です。たとえば、外性器などの身体的特徴が男性なのに、「自分は女性だ」と自覚している人のことです。トランスジェンダーのうち、性の不一致に対して強い違和感や嫌悪感がある状態を性同一性障害と呼びます。
 わが国では、性同一性障害に対する治療の条件は、原則として18歳以上です。また、20歳未満の場合は親権者の同意が必要です。精神科医による診断が確定したのちに、はじめにカウンセリングなどの精神療法をおこないます。自身が希望する性を選択したあとに、性ホルモンの投与や手術などの性転換治療をおこないます。

■形成外科での治療
 形成外科では、おもに性転換手術をおこないます。男性から女性への転換手術は、精巣(せいそう)・陰茎(いんけい)の切除術、腟(ちつ)の形成術などが含まれます。女性から男性への転換手術は、乳房(にゅうぼう)切除術、子宮・卵巣の切除術、陰茎の形成術などが含まれます。

【参考】こころの病気:性同一性障害

(執筆・監修:埼玉医科大学 教授〔形成外科・美容外科〕 時岡 一幸)