医療・医薬・福祉

インスメッド、肺MAC症患者を対象としたアリケイス(R)(アミカシンリポソーム吸入用懸濁液)の第 III 相臨床試験であるARISE試験の良好な速報結果を発表

インスメッド合同会社
・Quality of Life - Bronchiectasis (QOL-B) の呼吸器症状ドメインを用いた評価法は、肺MAC症患者において、患者報告アウトカムのツールとして効果的に機能することが示された。同評価法はENCORE試験の主要評価項目として米国食品医薬品局(FDA: Food and Drug Administration)に提案される予定である。 ・アリケイスとマクロライド系薬剤を基本とする治療を受けた患者群(アリケイス群)の QOL-Bの呼吸器症状スコアは、アリケイスを併用しない治療を受けた患者群(対照群)に比べて、大幅に改善された。 ・アリケイス群は、対照群に比べて投与7か月時点で培養陰性化率が有意に高かった(78.8%対47.1%、p=0.0010)。培養陰性化達成の時期も早く、アリケイス治療により陰性化が持続する傾向が示された。 ・新たな、または予期しない安全性関連事象は観察されなかった。 ・インスメッドは、ARISE試験のデータを基に、新規に感染した肺MAC症患者を対象としたアリケイスの早期申請を世界各国の規制当局と検討する予定である。


2023年9月5日、米国ニュージャージー発 
深刻な希少疾患と生きる患者さんの未来を変えることを使命とするグローバルバイオ医薬品企業のインスメッド(Nasdaq: INSM)は、新規に診断された、または再発のマイコバクテリウム・アビウムコンプレックス(MAC)による肺非結核性抗酸菌(NTM)症で、抗生物質による治療を開始していない患者を対象としたアリケイスの第III相ARISE試験のトップライン結果を、先般9月5日に発表しました。
この試験は、肺MAC症患者において、Quality of Life - Bronchiectasis(QOL-B)の呼吸器症状ドメインを用いた評価法が患者報告アウトカム(PRO: Patient Reported Outcome)の指標として効果的に機能することを実証するという主要目的を達成しました。この結果に基づき、インスメッドはQOL-Bの呼吸器症状ドメインを用いた評価法によるPROをENCORE試験の主要評価項目として米国食品医薬品局(FDA)に提案する予定です。
ARISE試験の患者(N=99)では、マクロライドを基本とした療法にアリケイスを併用する群(アリケイス群)またはマクロライドを基本とした療法にプラセボを併用する群(対照群)のいずれかに1:1で無作為に割り付け、6か月間の治療後、1か月間治療を休止しました。QOL-Bの呼吸器症状ドメインを用いた評価法で測定された結果において、アリケイス群では対照群よりも良好な結果が得られ、有意な改善と推定されるQOL-Bスコアの変化量の閾値である14.8を超えて改善を達成した患者の割合は43.8%でした。これに対して、対照群では33.3%の患者が同様の改善を達成しました。試験は統計的に有意な差を示すよう設計していなかったものの、投与7か月時点でベースラインからの改善については意義のある改善傾向が観察されました(12.24対7.76、p=0.1073)。
また、アリケイス群では、投与7か月時点で対照群に比べて培養陰性化率が統計的に有意に高く(78.8%対47.1%、p=0.0010)、培養陰性化はアリケイス群ではより早く、7か月目まで持続する可能性が高い結果でした。
インスメッドのチーフ・メディカル・オフィサー(CMO)であるMartina Flammerは、「ARISE試験は、NTMという疾患に関連するあらゆる方にとって明確かつ明白な成果です。この結果が肺NTM症でのPROツールを検証するだけでなく、アリケイスでの治療を受けた患者がこのPROツールでの評価において、対照群の患者よりも良好であったことを示すものであり、喜ばしく思っています。非常に優れた培養陰性化の達成と併せて、これらの知見は当社の承認申請を目的とした第 III 相試験であるENCORE試験が統計的にも臨床的にも有意な結果を達成するための有利な位置にあり、アリケイスの恩恵が期待できる患者数の大幅な増加につながるという大きな自信を与えてくれました。」と述べました。
ARISE試験の結果に基づき、インスメッドは肺MAC症の新規感染患者に対するアリケイスの適応追加の早期承認申請を世界各国の規制当局と検討する予定です。同時に、インスメッドはARISE試験で検証されたPROツールを使用するENCORE試験への患者登録を継続しており、2023年末までに250人の患者が登録される予定です。ENCORE試験への登録は高い統計的検出力を確保するために2024年も続行されることが想定され、インスメッドは2025年にENCORE試験のトップラインデータを報告する予定です。
インスメッドの最高開発責任者(CDO: Chief Development Officer)であるKevin Mangeは、「ARISE試験に参加し、この素晴らしい結果を可能にした多くの患者の皆さん、治療を支援された方々、および治験参加医師の皆様に感謝します。我々はこの素晴らしい結果について、近い将来規制当局と議論できることを楽しみにしています。」と述べました。


ARISE試験から得られた追加的な知見
ARISE試験からの追加的な調査結果について、インスメッドは以下のとおり報告しました。

培養陰性化について
過去の臨床試験と一致して、アリケイス群では、投与6か月までに培養陰性化(投与5か月目と6か月目における培養陰性と定義)を達成した患者の割合が、対照群よりも高い結果となりました(80.6%対63.9%、p=0.0712)。投与6か月までに培養陰性化を達成した患者のうち、培養陰性化に必要な2か月間連続の培養陰性のうち1回目を投与1か月という早期に達成した患者の割合は、アリケイス群の方が対照群よりも高い結果となりました(74.3%対46.7%)。前述のように、治療終了1か月後の7か月目では、対照群の患者の47.1%が培養陰性を示していたのに対し、アリケイス群では78.8%であり、アリケイス群の患者は陰性化状態をより維持しやすいことを示唆しています。


培養陰性化とQOL-Bスコアの相関について
アリケイス群で投与6か月と投与7か月の両時点で培養陰性化を達成した患者は、培養陰性化を達成しなかったアリケイス群の患者と比較して、投与7か月でのQOL-Bスコアの改善量に統計学的に有意な差を認めました(投与6か月では15.74対3.53、p=0.0167、投与7か月では14.89対4.50、p=0.0416)。

PROMIS Fatigue-Short Form 7aについて
この研究では、Patient-Reported Outcome Measurement Information System(PROMIS)Fatigue-Short Form 7aも評価されました。両治療群ともに、PROMIS Fatigueスコアがベースラインから投与7か月まで改善しましたが、治療群間の差は統計学的に有意ではありませんでした。アリケイス群の35.5%が、同指標で少なくとも4単位の減少(マイナスの変化は改善を示します)という同一患者での有意な変化を達成し、対照群の患者は29.4%がこれを達成しました。前述のように、本試験は治療群間の統計的有意な差を示すための設計をしていませんでした。

安全性と忍容性
アリケイス群及びプラセボを使用した対照群において投与中止を行った割合は、それぞれ22.9%及び7.8%でした。試験を完了した割合は、アリケイス群で91.7%、対照群で94.1%でした。アリケイス群で新たに発生した安全性に関する事象はなく、両群とも安全性プロファイルは概ね予想通りでした。試験中に発生した有害事象(Treatment-Emergent Adverse Event: TEAE)はアリケイス群で91.7%の患者で、対照群では80.4%の患者で報告されました。一般的なTEAEsとしては、発声障害(アリケイス群で41.7%、対照群で3.9%)、咳嗽(27.1%、7.8%)、下痢(27.1%、25.5%)、およびCOVID-19(12.5%、9.8%)が報告されました。重篤なTEAEについて、治験責任医師によってアリケイスと関連性があると判断されたものはなく、COVID-19と関連性があると判断されたものもありませんでした。


ARISE試験とENCORE試験について
アリケイスは2018年9月にFDAから迅速承認を受け、肺MAC症の治療薬として承認されました。これは、代替治療法が限られている、または存在しない成人患者向けの抗菌薬との併用療法です。肺MAC症の治療薬として米国で初めてかつ唯一承認された治療法です。ARISE試験およびENCORE試験のプログラムは、アリケイスを米国で完全に承認するためのFDAによる市販後要件を満たし、肺MAC症患者の治療薬としてアリケイスを使用するための新薬申請を支援することを意図しています。
ARISE試験は、新たに診断された、または再発した肺MAC症の成人患者で、抗菌薬治療を開始していない患者を対象とした国際共同無作為化二重盲検プラセボ対照の後期第III相試験で、PROベースのスコアの領域特異性、信頼性、妥当性、および反応性を示すエビデンスを生成することを目的としました。患者は、アリケイスおよび標準療法を1日1回投与される群と、プラセボおよび標準療法を1日1回投与される群とに1:1の比率で無作為に割り当てられ、6か月間治療を受けました。患者はその後、すべての試験治療を中止し、評価項目としてPROを継続的に評価するために1か月間試験に参加しています。この試験は99人の患者が登録されました。
進行中のENCORE試験は、新たに肺MAC症と診断された、または再発した肺MAC症の患者で、かつ抗菌薬治療を開始していない患者を対象に、アリケイスを用いた治療法の有効性と安全性を評価する無作為化二重盲検プラセボ対照の後期第III相試験です。患者は、アリケイス及び標準療法を1日1回投与される群と、プラセボおよび標準療法を1日1回投与される群とに1:1の比率で無作為に割り付けられ、12か月間治療を受けます。その後、患者はすべての試験治療を中止し、培養陰性化の持続性を評価するために3か月間試験に参加し続けます。主要評価項目は、呼吸器症状のPROスコアのベースラインから13か月目の変化です。主な副次評価項目は、15か月目に持続的な培養陰性化を達成した患者の割合です。

肺MAC症におけるPROツールの検証について
現在、肺MAC症の患者の治療効果を評価するための確立された臨床的な評価項目は存在しません。QOL-Bは、嚢胞性線維症を有さない成人気管支拡張症患者の症状、機能、および健康関連QOLを評価するために使用される、自記式のPRO質問票です。インスメッドの臨床試験プログラムは、QOL-Bの中の呼吸器症状ドメインが肺MAC症患者の呼吸器症状の測定法として信頼できることを確立することを目的としました。このプログラムにより、患者による概念抽出(の想起)および認知面接に基づいて内容の妥当性を支持するためのエビデンスが生成されました。そして、ARISE試験とENCORE試験の患者(ENCORE試験は、最初に登録された131人の患者)の両方から得られたスクリーニングおよびベースラインの盲検化データを用いて横断的解析を行い、この解析に基づいて測定法の特性を支持するためのエビデンスも生成されました。縦断的解析はARISE試験のデータに基づいて行われました。この解析では、症状の重症度を1つの質問で評価するシンプルなカテゴリー評価であるPatient Global Impression of Severity(PGI-S)質問票を患者の症状の重症度を評価するためのアンカーとして使用し、同一患者におけるスコアの有意な変化量の範囲を推定しました。この臨床試験プログラムでは、同じ方法でPROMIS Fatigue Short Form 7aも評価しました。


肺MAC症について
肺MAC症は、希少ながら重篤な疾患で、健康状態を大きく害し、死亡率も著しく高めてしまいます。また、慢性咳嗽、呼吸困難、倦怠感、熱、体重減少および胸痛など幅広い症状を引き起こし、時間の経過とともに進行する可能性があります。更に、肺に重度または不可逆的な損傷をきたし、死に至る場合もあります。そのため、肺MAC症は世界的にアンメットニーズの高い疾患であると認識されています。


アリケイス(R)について
アリケイス(R)は、米国ではARIKAYCE(R)(Amikacin Liposomal Inhalation Suspension/ALIS, アミカシンリポソーム吸入用懸濁液)、欧州ではARIKAYCE(R) Liposomal 590mg Nebuliser Dispersion、日本ではアリケイス吸入液590mg(アミカシン硫酸塩 吸入用製剤)として承認されています。現在、国際的な治療ガイドラインでは、適切な患者にアリケイスを使用することが推奨されています。アリケイスは、これまで静脈内投与されていたアミカシンを、1日1回、吸入投与する新規製剤です。弊社独自の PULMOVANCE (R) リポソーム技術により、アミカシンを肺に直接到達させることで、従来懸念されていた聴覚、平衡感覚、および腎機能といった全身性の副作用の発現を抑えながら、主要な感染細胞である肺マクロファージに取り込まれることを可能としました。アリケイスは、PARI(R) Pharma GmbH(以下 、PARI社)社製のラミラ(R) ネブライザシステムを使用して1日1回投与されます。


PARI社とラミラネブライザシステムについて
アリケイスは、PARI社が開発した新しい吸入器であるラミラネブライザシステムによって投与されます。ラミラは、振動する多孔質膜を介してアリケイスを効率的に噴霧することができる、静かで持ち運び可能なネブライザです。PARI社は、エアロゾルに関する100年の知見に基づき、患者の治療を向上させるための革新的な送達プラットフォームの開発を通じて、吸入治療の進歩に貢献しています。

インスメッドについて
グローバルバイオ医薬品企業であるインスメッドは、深刻な希少疾患と生きる患者さんの未来を変えることを使命としています。インスメッドは初めての製品として、米国、欧州、日本において、難治の慢性肺疾患に対する初の治療薬を上市しました。インスメッドは好中球が関与する炎症性疾患や希少肺疾患など深刻なアンメットニーズを有する疾患に対する研究開発に注力しています。インスメッドは、米国ニュージャージー州ブリッジウォーターに本社を置き、欧州や日本において事業を展開しています。


日本法人概要
会社名: インスメッド合同会社
設立日: 2017年12月5日
住 所: 〒100-0014 東京都千代田区永田町2-10-3 東急キャピトルタワー13階
https://insmed.jp/

Insmed(R), Insmed logo, インスメッド(R), ARIKAYCE(R), アリケイス(R) are registered trademarks of Insmed Incorporated.
PARI(R) is a registered trademark of PARI GmbH.ラミラ(R) is registered trademarks of PARI Pharma GmbH.
All other trademarks referenced herein are the property of their respective owners.

将来予想に関する記述
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