スーダン:国内最大のザムザム・キャンプで栄養危機──緊急かつ大規模援助が急務
国境なき医師団
紛争が続くスーダンの北ダルフール州にある最大の国内避難民キャンプ、ザムザム・キャンプで栄養危機が続いている。国境なき医師団(MSF)が実施した調査によると、住民の栄養状況は危険なレベルを示し、2023年4月に紛争が始まって以来、壊滅的な状況であることが明らかになった。同地では、国連機関や国際NGOが昨年4月にごくわずかの人員を残し退避したままだ。MSFは同キャンプで活動する唯一の医療団体として、キャンプでの医療と水・衛生設備の供給、食糧や現金の支給など、人道対応の即時かつ協調的な拡大を呼びかけている。
子どもの4人に1人が急性栄養失調
ザムザム・キャンプはスーダン最大かつ最古の国内避難民キャンプ。MSFは、2024年1月10日から13日、400世帯3296人を対象に、迅速栄養・死亡調査を実施した。調査の結果、子どものほぼ4分の1が急性栄養失調であり、7%が重度の急性栄養失調であることが判明した。その中でも、生後6カ月から2歳の子どもでは、40%近くが栄養失調で、そのうち15%が急性栄養失調であった。中等度と重度の急性栄養失調を合わせた緊急事態を示す基準値(全急性栄養失調率)は15%で、ザムザム・キャンプには緊急対応が必要であることを示している。
キャンプでの1日当たりの死亡者数は1万人当たり2.5人。これは、緊急事態を示す基準値の2倍以上であり、非常に憂慮すべき数値だ。また、妊娠中および授乳中の女性の40%も栄養失調であることが判明し、事態の深刻さを示している。
MSFはキャンプでの対応を急速に拡大し、最も重篤な子どもたちに治療を提供しているが、MSF単独での対応では不十分だ。
2時間に1人の子どもが死亡
スーダンでMSFの緊急対応責任者を務めるクレア・ニコレは「私たちが目にしているのは、まさに壊滅的な状況です。現在の推定では毎日約13人、2時間に1人の割合で子どもが亡くなっています。重度栄養失調の子どもは治療を受けなければ、3~6週間以内に死亡する危険性が高いです。医療施設で治療はできますが、多くの人が医療にアクセスできていません」と話す。
MSFは同キャンプで稼働している唯一の医療団体であり、その小さな診療所は患者の多さと症状の重さに圧倒されている。この9カ月間、北ダルフールでは以前から脆かった医療体制と全ての人道対応が崩壊。この診療所は、北ダルフールで完全に機能している数少ない外来診療所の一つとなった。人びとは医療を受けるために、キャンプから50キロも離れた村々からロバや徒歩で移動し、子どもたちが治療を受ける機会を逃さないよう、診療所の外で一晩野宿し、診療を待つ。
キャンプの状況はひどく、MSFの診療所以外に医療施設もなければ、清潔な水も供給されていない。人びとは沼地や川の水でしのいでいるが、ひどい下痢につながる恐れがある。既に栄養失調に陥っている子どもたちにとっては命取りであり、さらに、健康な子どもの栄養失調を招き、健康状態が急速に悪化する可能性がある。
援助から見捨てられたキャンプの住民
ニコレは「昨年4月に紛争が始まる前、キャンプの人びとは食料、医療、清潔な水など、あらゆる面で国際的な援助に依存していました。現在は完全に見捨てられています。5月以来、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)からの食糧配給は途絶え、以前は1日に2食の食事をとれた世帯も、現在は1食しか食べていないと話しています。その結果、人びとは飢え、子どもが亡くなっているのです」
「現在起きているような深刻な栄養失調には多くの要因があります。通常、12月の農作物の収穫を受けて食料の在庫が最も多い時期を迎えるので、1月は栄養失調が最も少なくなる時期なのです。ところがこの1年間、不安定な治安が続き、人びとは畑仕事に出ることもできませんでした。その上、雨が少なくわずかな農業生産も平均を下回りました。例年、栄養失調のピークを迎える4月から9月はまだ先ですが、症例数は既に膨大で、今後数カ月で激増が予想されています」と説明する。
国際社会からの大規模な援助を
2023年4月までは、北ダルフールの医療体制は、国連WFP、国連児童基金(ユニセフ)、国際移住機関(IOM)、国連人道問題調整事務所(OCHA)といった国連機関の支援を受けていた。この援助は現在、停止しており、供給ルートは陸路も空路も著しく妨げられている。職員は給料を受け取れなくなり、設備や医薬品は不足。発電機の燃料や水など、医療施設の運営に必要な物資も不足している。
かつて州都エル・ファシールに存在した栄養治療プログラムもなくなった。現在、この地域に子どもが基礎医療を受けられる場所はない。紛争当事者は一刻も早くエル・ファシールの空港を開き、利用できるようにする必要がある。そうすれば、人道援助機関はザムザム・キャンプだけでなく、北ダルフール全域で速やかに支援を再開できる。
スーダンのダルフール全5州はフランスとほぼ同じ大きさの面積を持つが、MSFはこの地域で小児医療を無償で提供する唯一の国際援助団体であり、小児病院のベッド数は、1100万人以上の人口に対して78床しかない。
ニコレは「ザムザム・キャンプから毎日子どもの患者が搬送されています。しかし、死亡率調査からは、診療所にさえたどり着けない子どもが何百人もいることは明らかです。国際社会の大規模な援助により、状況の悪化を防ぐことは可能です。人びとが黙って苦しみ続けるのをただ見ているわけにはいきません。援助を急拡充しない限り、さらに多くの子どもが死んでしまうでしょう」と訴える。
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
紛争が続くスーダンの北ダルフール州にある最大の国内避難民キャンプ、ザムザム・キャンプで栄養危機が続いている。国境なき医師団(MSF)が実施した調査によると、住民の栄養状況は危険なレベルを示し、2023年4月に紛争が始まって以来、壊滅的な状況であることが明らかになった。同地では、国連機関や国際NGOが昨年4月にごくわずかの人員を残し退避したままだ。MSFは同キャンプで活動する唯一の医療団体として、キャンプでの医療と水・衛生設備の供給、食糧や現金の支給など、人道対応の即時かつ協調的な拡大を呼びかけている。
子どもの4人に1人が急性栄養失調
ザムザム・キャンプはスーダン最大かつ最古の国内避難民キャンプ。MSFは、2024年1月10日から13日、400世帯3296人を対象に、迅速栄養・死亡調査を実施した。調査の結果、子どものほぼ4分の1が急性栄養失調であり、7%が重度の急性栄養失調であることが判明した。その中でも、生後6カ月から2歳の子どもでは、40%近くが栄養失調で、そのうち15%が急性栄養失調であった。中等度と重度の急性栄養失調を合わせた緊急事態を示す基準値(全急性栄養失調率)は15%で、ザムザム・キャンプには緊急対応が必要であることを示している。
キャンプでの1日当たりの死亡者数は1万人当たり2.5人。これは、緊急事態を示す基準値の2倍以上であり、非常に憂慮すべき数値だ。また、妊娠中および授乳中の女性の40%も栄養失調であることが判明し、事態の深刻さを示している。
MSFはキャンプでの対応を急速に拡大し、最も重篤な子どもたちに治療を提供しているが、MSF単独での対応では不十分だ。
2時間に1人の子どもが死亡
スーダンでMSFの緊急対応責任者を務めるクレア・ニコレは「私たちが目にしているのは、まさに壊滅的な状況です。現在の推定では毎日約13人、2時間に1人の割合で子どもが亡くなっています。重度栄養失調の子どもは治療を受けなければ、3~6週間以内に死亡する危険性が高いです。医療施設で治療はできますが、多くの人が医療にアクセスできていません」と話す。
MSFは同キャンプで稼働している唯一の医療団体であり、その小さな診療所は患者の多さと症状の重さに圧倒されている。この9カ月間、北ダルフールでは以前から脆かった医療体制と全ての人道対応が崩壊。この診療所は、北ダルフールで完全に機能している数少ない外来診療所の一つとなった。人びとは医療を受けるために、キャンプから50キロも離れた村々からロバや徒歩で移動し、子どもたちが治療を受ける機会を逃さないよう、診療所の外で一晩野宿し、診療を待つ。
キャンプの状況はひどく、MSFの診療所以外に医療施設もなければ、清潔な水も供給されていない。人びとは沼地や川の水でしのいでいるが、ひどい下痢につながる恐れがある。既に栄養失調に陥っている子どもたちにとっては命取りであり、さらに、健康な子どもの栄養失調を招き、健康状態が急速に悪化する可能性がある。
援助から見捨てられたキャンプの住民
ニコレは「昨年4月に紛争が始まる前、キャンプの人びとは食料、医療、清潔な水など、あらゆる面で国際的な援助に依存していました。現在は完全に見捨てられています。5月以来、WFP国連世界食糧計画(国連WFP)からの食糧配給は途絶え、以前は1日に2食の食事をとれた世帯も、現在は1食しか食べていないと話しています。その結果、人びとは飢え、子どもが亡くなっているのです」
「現在起きているような深刻な栄養失調には多くの要因があります。通常、12月の農作物の収穫を受けて食料の在庫が最も多い時期を迎えるので、1月は栄養失調が最も少なくなる時期なのです。ところがこの1年間、不安定な治安が続き、人びとは畑仕事に出ることもできませんでした。その上、雨が少なくわずかな農業生産も平均を下回りました。例年、栄養失調のピークを迎える4月から9月はまだ先ですが、症例数は既に膨大で、今後数カ月で激増が予想されています」と説明する。
国際社会からの大規模な援助を
2023年4月までは、北ダルフールの医療体制は、国連WFP、国連児童基金(ユニセフ)、国際移住機関(IOM)、国連人道問題調整事務所(OCHA)といった国連機関の支援を受けていた。この援助は現在、停止しており、供給ルートは陸路も空路も著しく妨げられている。職員は給料を受け取れなくなり、設備や医薬品は不足。発電機の燃料や水など、医療施設の運営に必要な物資も不足している。
かつて州都エル・ファシールに存在した栄養治療プログラムもなくなった。現在、この地域に子どもが基礎医療を受けられる場所はない。紛争当事者は一刻も早くエル・ファシールの空港を開き、利用できるようにする必要がある。そうすれば、人道援助機関はザムザム・キャンプだけでなく、北ダルフール全域で速やかに支援を再開できる。
スーダンのダルフール全5州はフランスとほぼ同じ大きさの面積を持つが、MSFはこの地域で小児医療を無償で提供する唯一の国際援助団体であり、小児病院のベッド数は、1100万人以上の人口に対して78床しかない。
ニコレは「ザムザム・キャンプから毎日子どもの患者が搬送されています。しかし、死亡率調査からは、診療所にさえたどり着けない子どもが何百人もいることは明らかです。国際社会の大規模な援助により、状況の悪化を防ぐことは可能です。人びとが黙って苦しみ続けるのをただ見ているわけにはいきません。援助を急拡充しない限り、さらに多くの子どもが死んでしまうでしょう」と訴える。
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
(2024/02/07 18:35)
- データ提供
本コーナーの内容に関するお問い合わせ、または掲載についてのお問い合わせは株式会社 PR TIMES ()までご連絡ください。製品、サービスなどに関するお問い合わせは、それぞれの発表企業・団体にご連絡ください。