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【岡山大学】難治性の胆のうがんに対する第四の薬物治療「核酸医薬治療」を発見! ~抗腫瘍効果を示すマイクロRNA“miR-34a-5p”を、ミニ臓器を用いた新規胆のうがんモデルから同定~

国立大学法人岡山大学

2024(令和6)年 2月 13日
国立大学法人岡山大学
https://www.okayama-u.ac.jp/




<発表のポイント>
進行胆のうがんは予後不良な疾患であり、有効な治療法が限られていることが課題となっています。

新規のマウス由来胆のうオルガノイドモデルを用いた解析によって、正常胆のうのオルガノイドに比べて胆のうがんオルガノイドで発現が少ないマイクロRNA(microRNA)として、miR-34a-5pを同定し、ヒト胆のうがん組織においても同様に発現が少ないことを確認しました。

ヒト胆のうがん細胞株および胆のうがんゼノグラフトモデルを用いた実験により、miR-34a-5pを強制的に過剰発現すると細胞周期停止による抗腫瘍効果を示すことを明らかにしました。

胆のうがんに対するmiR-34a-5pの補充療法は、完治が難しい胆のうがんに対する有力な新規治療となることが期待されます。




◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区、学長:那須保友)の岡山大学病院消化器内科の織田崇志医員(本学大学院医歯薬学総合研究科博士課程4年在学中)、同・堤康一郎助教、岡山大学学術研究院医歯薬学域(医)消化器・肝臓内科学の大塚基之教授らの研究グループは、新規のマウス由来胆のうオルガノイドモデルを用いた網羅的な解析によって、胆のうがんオルガノイドで低発現であったmiR-34a-5pを同定し、さらにヒト由来の胆のうがん細胞株や胆のうがんゼノグラフトモデルを用いた実験により、胆のうがんに対してmiR-34a-5pを過剰発現させることで抗腫瘍効果を示すこと、またその機序の一つとして細胞周期の抑制が関与することを明らかにしました。

 この研究成果は、2024年2月8日0時(アメリカ東部時間)に米国遺伝子細胞治療学会の公式ジャーナルである「Molecular Therapy Oncology」のオンライン版で公開されました。

 予後不良な胆のうがんに対する核酸医薬治療は、世界的な標準治療である化学療法や免疫療法、分子標的療法に加わる新たな治療となる可能性を有しており、本研究はその進歩に貢献するものと考えられます。今後も織田医員、堤康助教と地域中核・特色ある研究大学である岡山大学の絶え間ない挑戦と変化にご期待ください。


図1.胆のうがん細胞株NOZをヌードマウスの皮下に局注し、腫瘍形成を確認後、miR-34a-5pの局所投与を行った。コントロール群(NC mimic)に比べて、miR-34a-5pを投与した群(miR-34a-5p mimic)では、腫瘍増殖が抑制された。また、摘出した皮下腫瘍においてCDK6の免疫染色を行うと、CDK6の発現が有意に低下していることが確認された



図2.胆のうがんに対するmiR-34a-5p導入による抗腫瘍効果のメカニズム


◆研究者らからひとこと
<織田崇志 医員>
 胆のうがんに対する化学療法は少しずつ治療選択肢が増えてきていますが、現在でも治療選択肢の少ないがんの一つです。胆のうオルガノイドモデルを用いて見つけたmiR-34a-5pが、胆のうがん細胞株および胆のうがんゼノグラフトモデルにおいて抗腫瘍効果をもたらすことを明らかにしました。
 本研究が新しい治療法につながり、胆のうがんに苦しむ患者さんの助けになることを願っています。

<堤康一郎 助教>
 生体を模倣する胆のうオルガノイドへ遺伝子変異導入を行った新しいモデルを利用することによって、胆のうがんの増殖や進行に重要なマイクロRNAの一つが同定されたものと考えています。難治な胆のうがんに対する新たな治療戦略の一つとして、今後臨床応用へと展開できるよう改良を続けていきたいと思います。

織田崇志医員と堤康一郎助教(右)


◆論文情報
 論 文 名:MicroRNA-34a-5p - a pivotal therapeutic target in gallbladder cancer
 掲 載 紙:Molecular Therapy Oncology
 著  者:Takashi Oda, Koichiro Tsutsumi*, Taisuke Obata, Eijiro Ueta, Tatsuya Kikuchi, Soichiro Ako, Yuki Fujii, Tatsuhiro Yamazaki, Daisuke Uchida, Kazuyuki Matsumoto, Shigeru Horiguchi, Hironari Kato, Hiroyuki Okada, Ryota Chijimatsu, and Motoyuki Otsuka*  *:責任著者
 D O I:10.1016/j.omton.2024.200765
 U R L:https://www.cell.com/molecular-therapy-family/oncology/fulltext/S2950-3299(24)00007-9.


◆研究資金
 本研究は、日本学術振興会(JSPS)科学研究費補助金(基盤研究C・21K07962、研究代表者:加藤博也、基盤研究C・22K08032、研究代表者:堤康一郎、基盤研究B・22H02828、研究代表者:大塚基之)および令和2年度岡山健康づくり財団がんに関する研究助成金の支援を受けて実施しました。


◆詳しいプレスリリースについて
 難治性の胆のうがんに対する第四の薬物治療「核酸医薬治療」を発見!~抗腫瘍効果を示すマイクロRNA“miR-34a-5p”を、ミニ臓器を用いた新規胆のうがんモデルから同定~
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r5/press20240208-1.pdf


◆参 考
・岡山大学病院
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/
・岡山大学病院 消化器内科
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/hospital/index114.html
・岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
 https://www.mdps.okayama-u.ac.jp/


◆参考情報
・【岡山大学】難治性胆道癌に対して抗腫瘍効果を示すマイクロRNAの同定 ~ゲムシタビン抵抗性の胆道癌に対する新たな治療薬としての期待~
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001786.000072793.html




岡山大学病院(岡山市北区)


◆本件お問い合わせ先
 岡山大学病院 消化器内科 助教 堤 康一郎
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1 岡山大学鹿田キャンパス
 TEL:086-235-7219
 FAX:086-225-5991
 http://www.okayama-gastro.com/

<岡山大学病院との連携等に関する件(製薬・医療機器企業関係者の方)>
 岡山大学病院 新医療研究開発センター
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 下記URLより該当する案件についてお問い合わせください
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/ph_company/

<岡山大学病院との連携等に関する件(医療関係者・研究者の方)>
 岡山大学病院 研究推進課 産学官連携推進担当
 〒700-8558 岡山県岡山市北区鹿田町2-5-1
 TEL:086-235-7983
 E-mail:ouh-csnw◎adm.okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 http://shin-iryo.hospital.okayama-u.ac.jp/medical/

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 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/

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 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000122.000072793.html



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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001935.000072793.html


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