アルナイラム、繰り返す激しい腹痛の迅速スクリーニングキット(研究用試薬)を提供開始
Alnylam Japan株式会社
RNAi 治療のリーディングカンパニーであるAlnylam Japan株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 岡田 裕、以下「アルナイラム」)は、この度、原因不明の腹痛を繰り返す患者さんを対象とする急性肝性ポルフィリン症(AHP:acute hepatic porphyria)の迅速スクリーニングキット「尿PBG迅速スクリーニングキット(以下、「本キット」)、研究用試薬、医薬用外劇物」を無償にて提供開始いたします。これにより原因不明の腹痛で、AHPを疑う症状*がある場合に、速やかにスクリーニングを行い、陽性となった場合にはAHP (ALAD 欠損性ポルフィリン症を除く)が疑われることから、発作を悪化させる薬剤の投与の回避が可能となります。
AHPの発症は10代後半から30代の女性に多いとされ、便秘や嘔吐を伴う激しい腹痛発作を主症状とします。AHP の発作は一部の薬剤で悪化するため、AHPが疑われる場合には、薬剤選択を慎重に行う必要がありますが、一般的な血液検査や画像検査では診断することができず、尿中のδ-アミノレブリン酸(ALA)、ポルフォビリノーゲン(PBG)を測定して診断が行われます。ただし、結果がでるまで約10日を要するために速やかな診断が難しいという課題がありました。
本キットは、採取した新鮮尿を試薬と同等量、約20滴加えて攪拌し、試薬の色が変化したら(赤みが増していたら)陽性と判断されます。AHP (ALAD 欠損性ポルフィリン症を除く)を速やかにスクリーニングし、陽性となった場合には発作を悪化させる薬剤の投与を回避することが可能となります。
本キットの無償提供開始に伴い、AHP医療関係者向けサイト内に特設Webサイト(https://porphyria.jp/examination/screening-kit)をオープンいたしました。医療関係者の方はWebサイトからお申込みが可能で、キットの発送は3月中旬から順次行われる予定です。
アルナイラムの代表取締役社長である岡田 裕は次のように述べています。「AHPは激しい急性の腹痛を主な症状とする希少疾患です。腹痛は多くの疾患で見られる症状であることから、AHPが見逃されること、他の疾患として診断されていることが多く、確定診断に至るまで平均15年を要すると報告されるなど2)、鑑別診断の難しさが課題となっています。かつてはAHPの治療方法は限られていましたが、2021年に初めての治療薬であるギブラーリ(R)が発売されました。この治療薬は急性発作の頻度を減らし、患者さんの生活の質を向上させることが期待されています。今回の迅速スクリーニングキットの導入が、原因不明の腹痛に苦しむ多くの患者さんの中に潜んでいる可能性があるAHPの確定診断につながるきっかけとなることを期待しています。私たちアルナイラムは誰もが不可能だ、非現実的だという既成概念に果敢にチャレンジし、治療の選択肢が限られている疾患でお困りの患者さんに貢献できるよう取り組んで参ります。」
AHPについて
急性肝性ポルフィリン症(AHP)は、生命を脅かしうる激しい急性の腹痛発作が主にみられる遺伝性の希少疾患です。AHP には、急性間欠性ポルフィリン症(AIP: acute intermittent porphyria)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP: hereditary coproporphyria)、異型ポルフィリン症(VP: variegate porphyria)、および ALA 脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP: ALA dehydratase deficiency porphyria)の 4 病型があり、いずれの病型も、遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠損することで生じます。
AHP は主に思春期から閉経前の女性にみられ、その症状は様々です。最もよくみられる症状は激しい腹痛であり、随伴症状として、四肢痛、背部痛、胸痛、悪心、嘔吐、錯乱、不安、痙攣、四肢脱力、便秘、下痢、暗色尿あるいは赤色尿等がみられます。AHP は発作中に麻痺や呼吸停止が起こる可能性もあることから、生命を脅かす危険もあります。また、患者さんによっては日常生活の機能や生活の質に悪影響を及ぼします。
AHPはその症状が非特異的であるため、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などの他の疾患と診断されることもあり3)、症状が現れてから診断がつくまでに平均 15 年に及ぶことが報告されています2)。また、AHP の長期合併症には、高血圧、慢性腎不全、肝細胞癌を含む慢性の肝疾患があります。
尿PBG迅速スクリーニングキットについて
尿PBG迅速スクリーニングキットは研究用試薬、医療用外劇物であり、エールリッヒ試薬、取扱説明書、採尿用スポイト、採尿用容器、劇物譲受書・返送用封筒により構成されています。エールリッヒ試薬は、尿中ポルフォビリノーゲン(PBG)に含まれるインドール骨格に反応し呈色するため、PBGの定性検査として使用されています。お申し込み後、1~2週間程度でキットが到着、使用までの間、冷暗所(2~8℃)で保管が必要です。また本キットはスクリーニングを目的としており、他のインドール骨格を有する化合物と反応し偽陽性を示す可能性があります。また、非発作時や、発作直後では本キットが反応するための十分なPBG 濃度が得られない可能性があることから、偽陰性を示す可能性があり、診断には必ず保険適用された検査方法(尿ALAや尿PBGの定量検査、遺伝学的検査等)の実施が必要です。
本キットは塩酸が含まれており、患者さんには渡さず、医療従事者が取り扱いを行う必要があります。
Alnylam Japan株式会社について
Alnylam Japan 株式会社(https://www.alnylam.jp/)は、次世代医薬品として注目される核酸医薬の一つである RNAi 治療薬を日本の患者さんに届けるため、2018 年 7 月に設立されました。RNAi 治療薬は、従来はターゲットにできなかったmRNAに選択的に作用することで、これまで治療が困難であった疾患の新たな治療選択肢となる可能性があります。RNAi 技術を応用して開発された世界初の siRNA 製剤オンパットロ(R)点滴静注2mg/mL(一般名:パチシランナトリウム、適応症:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)は、当社が日本国内で 2019 年に販売した最初の製品です。2021 年には、2 剤目となる siRNA 製剤ギブラーリ(R)皮下注189mg(一般名:ギボシランナトリウム、適応症:急性肝性ポルフィリン症)、2022年には3剤目となるsiRNA 製剤アムヴトラ(R)皮下注25mgシリンジ(一般名:ブトリシランナトリウム、適応症:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)を販売しています。当社は、医療の未来を切り拓く可能性のある新しい治療薬の開発に取り組み、アンメットニーズの解消に貢献することを目指しています。
参考文献
1) 難病情報センター「ポルフィリン症(指定難病253)」
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5546 (2024/2/13 access)
2) Bonkovsky et al. Am J Med 2014;127:1233-41
3) 近藤 雅雄,他. ALA-Porphyrin science. 2012;2:73-82.
MED-JP-AS1-2400011| February 2024
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RNAi 治療のリーディングカンパニーであるAlnylam Japan株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 岡田 裕、以下「アルナイラム」)は、この度、原因不明の腹痛を繰り返す患者さんを対象とする急性肝性ポルフィリン症(AHP:acute hepatic porphyria)の迅速スクリーニングキット「尿PBG迅速スクリーニングキット(以下、「本キット」)、研究用試薬、医薬用外劇物」を無償にて提供開始いたします。これにより原因不明の腹痛で、AHPを疑う症状*がある場合に、速やかにスクリーニングを行い、陽性となった場合にはAHP (ALAD 欠損性ポルフィリン症を除く)が疑われることから、発作を悪化させる薬剤の投与の回避が可能となります。
AHPの発症は10代後半から30代の女性に多いとされ、便秘や嘔吐を伴う激しい腹痛発作を主症状とします。AHP の発作は一部の薬剤で悪化するため、AHPが疑われる場合には、薬剤選択を慎重に行う必要がありますが、一般的な血液検査や画像検査では診断することができず、尿中のδ-アミノレブリン酸(ALA)、ポルフォビリノーゲン(PBG)を測定して診断が行われます。ただし、結果がでるまで約10日を要するために速やかな診断が難しいという課題がありました。
本キットは、採取した新鮮尿を試薬と同等量、約20滴加えて攪拌し、試薬の色が変化したら(赤みが増していたら)陽性と判断されます。AHP (ALAD 欠損性ポルフィリン症を除く)を速やかにスクリーニングし、陽性となった場合には発作を悪化させる薬剤の投与を回避することが可能となります。
本キットの無償提供開始に伴い、AHP医療関係者向けサイト内に特設Webサイト(https://porphyria.jp/examination/screening-kit)をオープンいたしました。医療関係者の方はWebサイトからお申込みが可能で、キットの発送は3月中旬から順次行われる予定です。
アルナイラムの代表取締役社長である岡田 裕は次のように述べています。「AHPは激しい急性の腹痛を主な症状とする希少疾患です。腹痛は多くの疾患で見られる症状であることから、AHPが見逃されること、他の疾患として診断されていることが多く、確定診断に至るまで平均15年を要すると報告されるなど2)、鑑別診断の難しさが課題となっています。かつてはAHPの治療方法は限られていましたが、2021年に初めての治療薬であるギブラーリ(R)が発売されました。この治療薬は急性発作の頻度を減らし、患者さんの生活の質を向上させることが期待されています。今回の迅速スクリーニングキットの導入が、原因不明の腹痛に苦しむ多くの患者さんの中に潜んでいる可能性があるAHPの確定診断につながるきっかけとなることを期待しています。私たちアルナイラムは誰もが不可能だ、非現実的だという既成概念に果敢にチャレンジし、治療の選択肢が限られている疾患でお困りの患者さんに貢献できるよう取り組んで参ります。」
AHPについて
急性肝性ポルフィリン症(AHP)は、生命を脅かしうる激しい急性の腹痛発作が主にみられる遺伝性の希少疾患です。AHP には、急性間欠性ポルフィリン症(AIP: acute intermittent porphyria)、遺伝性コプロポルフィリン症(HCP: hereditary coproporphyria)、異型ポルフィリン症(VP: variegate porphyria)、および ALA 脱水酵素欠損性ポルフィリン症(ADP: ALA dehydratase deficiency porphyria)の 4 病型があり、いずれの病型も、遺伝子変異により肝臓内のヘム産生に必要な特定の酵素が欠損することで生じます。
AHP は主に思春期から閉経前の女性にみられ、その症状は様々です。最もよくみられる症状は激しい腹痛であり、随伴症状として、四肢痛、背部痛、胸痛、悪心、嘔吐、錯乱、不安、痙攣、四肢脱力、便秘、下痢、暗色尿あるいは赤色尿等がみられます。AHP は発作中に麻痺や呼吸停止が起こる可能性もあることから、生命を脅かす危険もあります。また、患者さんによっては日常生活の機能や生活の質に悪影響を及ぼします。
AHPはその症状が非特異的であるため、婦人科疾患、ウイルス性胃腸炎、過敏性腸症候群(IBS)、虫垂炎などの他の疾患と診断されることもあり3)、症状が現れてから診断がつくまでに平均 15 年に及ぶことが報告されています2)。また、AHP の長期合併症には、高血圧、慢性腎不全、肝細胞癌を含む慢性の肝疾患があります。
尿PBG迅速スクリーニングキットについて
尿PBG迅速スクリーニングキットは研究用試薬、医療用外劇物であり、エールリッヒ試薬、取扱説明書、採尿用スポイト、採尿用容器、劇物譲受書・返送用封筒により構成されています。エールリッヒ試薬は、尿中ポルフォビリノーゲン(PBG)に含まれるインドール骨格に反応し呈色するため、PBGの定性検査として使用されています。お申し込み後、1~2週間程度でキットが到着、使用までの間、冷暗所(2~8℃)で保管が必要です。また本キットはスクリーニングを目的としており、他のインドール骨格を有する化合物と反応し偽陽性を示す可能性があります。また、非発作時や、発作直後では本キットが反応するための十分なPBG 濃度が得られない可能性があることから、偽陰性を示す可能性があり、診断には必ず保険適用された検査方法(尿ALAや尿PBGの定量検査、遺伝学的検査等)の実施が必要です。
本キットは塩酸が含まれており、患者さんには渡さず、医療従事者が取り扱いを行う必要があります。
Alnylam Japan株式会社について
Alnylam Japan 株式会社(https://www.alnylam.jp/)は、次世代医薬品として注目される核酸医薬の一つである RNAi 治療薬を日本の患者さんに届けるため、2018 年 7 月に設立されました。RNAi 治療薬は、従来はターゲットにできなかったmRNAに選択的に作用することで、これまで治療が困難であった疾患の新たな治療選択肢となる可能性があります。RNAi 技術を応用して開発された世界初の siRNA 製剤オンパットロ(R)点滴静注2mg/mL(一般名:パチシランナトリウム、適応症:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)は、当社が日本国内で 2019 年に販売した最初の製品です。2021 年には、2 剤目となる siRNA 製剤ギブラーリ(R)皮下注189mg(一般名:ギボシランナトリウム、適応症:急性肝性ポルフィリン症)、2022年には3剤目となるsiRNA 製剤アムヴトラ(R)皮下注25mgシリンジ(一般名:ブトリシランナトリウム、適応症:トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチー)を販売しています。当社は、医療の未来を切り拓く可能性のある新しい治療薬の開発に取り組み、アンメットニーズの解消に貢献することを目指しています。
参考文献
1) 難病情報センター「ポルフィリン症(指定難病253)」
https://www.nanbyou.or.jp/entry/5546 (2024/2/13 access)
2) Bonkovsky et al. Am J Med 2014;127:1233-41
3) 近藤 雅雄,他. ALA-Porphyrin science. 2012;2:73-82.
MED-JP-AS1-2400011| February 2024
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(2024/02/20 13:06)
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