TOPPAN、デジタル画像のカラーマネジメント技術を活用し、簡易検査の定性検出を定量化する技術を確立
TOPPANホールディングス株式会社
大日本塗料の細胞外小胞(エクソソーム)用イムノクロマトキットを用いて、迅速かつ簡便な定量手法を構築
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:齊藤 昌典、以下 TOPPAN)は、カラーマネジメント技術を活用し、デジタル画像化した簡易検査イムノクロマト(※1)の検出結果を定量化する技術を開発しました。本技術により、大日本塗料株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:里 隆幸、以下 大日本塗料)が、世界で初めて製品化した細胞外小胞(エクソソーム)(※2)のイムノクロマトキット「Exorapid-qIC(R)」で検出した細胞外小胞体(エクソソーム)を数値化・定量化することができます。
TOPPANは、撮影した画像を適切な色に変換するカラーマネジメント技術を活用し、イムノクロマトの検出結果を定量化する技術を確立。検出対象を細胞外小胞(エクソソーム)だけでなく、各種ウイルスやたんぱく質などに展開することで、イムノクロマトの新たな活用方法や価値を広げると同時に、学術分野における細胞外小胞(エクソソーム)研究の効率化および診断薬や予防医学の発展に貢献します。
■背景
日本人の死因第1位はがん(悪性新生物)で推移し、昨今では予防に加え、早期診断・早期治療が重要視されています。そのような中、ヒトの細胞から分泌される細胞外小胞(エクソソーム)は分泌元の細胞の情報を含む物質であり、血液や尿などあらゆる体液中に存在することがわかってきました。体液中の細胞外小胞(エクソソーム)を検出し、がんや認知症などの早期診断につながる簡便な検査技術の開発が期待されています。
このような課題に対し、TOPPANはこれまで培ってきたリキッドバイオプシー(※3)に関する細胞外小胞(エクソソーム)の検出技術を応用して、細胞外小胞(エクソソーム)をイムノクロマトで検出する技術の特許を取得し、大日本塗料へ細胞外小胞(エクソソーム)に関連した試験研究用検査試薬キットの設計・開発・製造・販売の権利を許諾しました。大日本塗料は、本特許の技術を活用することで「Exorapid-qIC(R) 細胞外小胞用イムノクロマトキット」を開発し、2023年7月25日に研究用途として販売を開始しました。
一方、イムノクロマトは新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの定性検査として広く使用されていますが、検出量の数値化・定量化の過程が煩雑なため、定量試験・検査としてほとんど利用されていません。
TOPPANは長年にわたる印刷事業の中で様々なカラーマネジメント技術を培ってきました。カラーマネジメント技術とは、ディスプレイやプリンタ、印刷物など異なるデバイス間で色の調整を行い、表示色の統一を図るためのもので、カメラ撮影した画像を適切な色に変換する「CAM-FIT(R)」(※4)を用いて、撮影の光源環境・カメラに応じて撮影データを「正しい色」に変換することが可能です。今回、この技術を活用し、撮影の光源環境・カメラに依存せずにイムノクロマトでの検出結果の数値化が可能になりました。TOPPANは、大日本塗料と連携して、本技術により細胞外小胞(エクソソーム)のイムノクロマトによる検出結果を数値化・定量化できることを確認しました。
TOPPANは、カラーマネジメント技術によるイムノクロマトの新たな活用方法や価値を広げると同時に、学術分野における細胞外小胞(エクソソーム)研究の発展に貢献します。
■特長
(1)専用カラーチャート付き台紙を用いることで、解析精度と作業効率を向上
イムノクロマトの試験紙を貼り付ける台紙に専用カラーチャートを設けることで、撮影した画像の色や照明ムラ、影などの影響を最小化するカラーマネジメント処理を行い、解析精度を向上。さらに、撮影不具合時にエラー警告も可能となりました。
従来の解析準備作業を不要とすることで、解析作業効率を上げることができます。
(2)自動解析により、検査精度と作業効率を向上
これまで一つひとつ手作業で行っていた画像解析により全自動化。画像解析時の作業者によるばらつきを排除するとともに、作業効率を向上しました。
■細胞外小胞(エクソソーム)の定量化の検証
TOPPANは大日本塗料と連携して、本技術により細胞外小胞(エクソソーム)のイムノクロマトによる検出結果を数値化・定量化できることを確認しました。
検証期間:2023年11月~2024年2月
検証内容:「Exorapid-qIC(R) 細胞外小胞用イムノクロマトキット」の検出結果を専用カラーチャート付き台紙上に固定し、デジタル画像化。画像データを「CAM-FIT(R)」で解析し、定量化するための検量線の作成し、検出結果を数値化・定量化を実施しました。
二社の役割
・TOPPAN
専用カラーチャート付き台紙と、カラーマネジメント技術で定量化するシステムを提供。
・大日本塗料
本定量化システムの開発においては1.定量作業の課題提起および、2.使用者目線での意見の提供。現在、大日本塗料は本定量システムに適応する、新たなイムノクロマトキットの開発にも取り組んでいます。
■今後の展開
TOPPANは、本特許に基づく技術を活用し、細胞外小胞を利用する創薬分野の次世代モダリティ(※5)の研究開発への貢献とともに、新規検出技術の開発を推進します。さらに、アンメット・メディカル・ニーズ(※6)を見据え、医療分野向けの新規診断技術の研究を推進します。
※1 イムノクロマト
多孔質体の中を液体が毛細管現象で流れることを応用し、体液などの検体中に含まれる物質を簡便に測定する技術。インフルエンザや新型コロナウイルスの検査キットなどに活用されている。
※2 エクソソーム
様々な種類の細胞から分泌される細胞外小胞の一種。タンパク質や核酸を包含し、分泌された細胞の情報を多く含む。
※3 リキッドバイオプシー
血液や体液などに含まれる成分を検出し、特定の疾患の診断や治療に必要な情報を取得すること。一般的な生検(バイオプシー)と比較し、体液(リキッド)を使用するため、人体に対して低侵襲な手法。
※4 「CAM-FIT(R)」
撮影対象と専用のカラーチャート印刷物を撮影することで、撮影画像を正しい色に変換できるクラウドサービス。
https://solution.toppan.co.jp/ds/service/colormanagementsystem.html
※5 次世代モダリティ
核酸治療、遺伝子治療、細胞治療など新しい治療方法に寄与し、従来の作用機序とは異なる医薬品分類の総称。
※6 アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)
いまだ有効な治療が確立されていない疾患に対する、満たされていない(unmet)医療ニーズ。
* 本ニュースリリースに記載された商品・サービス名は各社の商標または登録商標です。
* 本ニュースリリースに記載された内容は発表日現在のものです。その後予告なしに変更されることがあります。
以 上
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大日本塗料の細胞外小胞(エクソソーム)用イムノクロマトキットを用いて、迅速かつ簡便な定量手法を構築
TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長:齊藤 昌典、以下 TOPPAN)は、カラーマネジメント技術を活用し、デジタル画像化した簡易検査イムノクロマト(※1)の検出結果を定量化する技術を開発しました。本技術により、大日本塗料株式会社(本社:大阪府大阪市、代表取締役社長:里 隆幸、以下 大日本塗料)が、世界で初めて製品化した細胞外小胞(エクソソーム)(※2)のイムノクロマトキット「Exorapid-qIC(R)」で検出した細胞外小胞体(エクソソーム)を数値化・定量化することができます。
TOPPANは、撮影した画像を適切な色に変換するカラーマネジメント技術を活用し、イムノクロマトの検出結果を定量化する技術を確立。検出対象を細胞外小胞(エクソソーム)だけでなく、各種ウイルスやたんぱく質などに展開することで、イムノクロマトの新たな活用方法や価値を広げると同時に、学術分野における細胞外小胞(エクソソーム)研究の効率化および診断薬や予防医学の発展に貢献します。
■背景
日本人の死因第1位はがん(悪性新生物)で推移し、昨今では予防に加え、早期診断・早期治療が重要視されています。そのような中、ヒトの細胞から分泌される細胞外小胞(エクソソーム)は分泌元の細胞の情報を含む物質であり、血液や尿などあらゆる体液中に存在することがわかってきました。体液中の細胞外小胞(エクソソーム)を検出し、がんや認知症などの早期診断につながる簡便な検査技術の開発が期待されています。
このような課題に対し、TOPPANはこれまで培ってきたリキッドバイオプシー(※3)に関する細胞外小胞(エクソソーム)の検出技術を応用して、細胞外小胞(エクソソーム)をイムノクロマトで検出する技術の特許を取得し、大日本塗料へ細胞外小胞(エクソソーム)に関連した試験研究用検査試薬キットの設計・開発・製造・販売の権利を許諾しました。大日本塗料は、本特許の技術を活用することで「Exorapid-qIC(R) 細胞外小胞用イムノクロマトキット」を開発し、2023年7月25日に研究用途として販売を開始しました。
一方、イムノクロマトは新型コロナウイルスやインフルエンザウイルスの定性検査として広く使用されていますが、検出量の数値化・定量化の過程が煩雑なため、定量試験・検査としてほとんど利用されていません。
TOPPANは長年にわたる印刷事業の中で様々なカラーマネジメント技術を培ってきました。カラーマネジメント技術とは、ディスプレイやプリンタ、印刷物など異なるデバイス間で色の調整を行い、表示色の統一を図るためのもので、カメラ撮影した画像を適切な色に変換する「CAM-FIT(R)」(※4)を用いて、撮影の光源環境・カメラに応じて撮影データを「正しい色」に変換することが可能です。今回、この技術を活用し、撮影の光源環境・カメラに依存せずにイムノクロマトでの検出結果の数値化が可能になりました。TOPPANは、大日本塗料と連携して、本技術により細胞外小胞(エクソソーム)のイムノクロマトによる検出結果を数値化・定量化できることを確認しました。
TOPPANは、カラーマネジメント技術によるイムノクロマトの新たな活用方法や価値を広げると同時に、学術分野における細胞外小胞(エクソソーム)研究の発展に貢献します。
■特長
(1)専用カラーチャート付き台紙を用いることで、解析精度と作業効率を向上
イムノクロマトの試験紙を貼り付ける台紙に専用カラーチャートを設けることで、撮影した画像の色や照明ムラ、影などの影響を最小化するカラーマネジメント処理を行い、解析精度を向上。さらに、撮影不具合時にエラー警告も可能となりました。
従来の解析準備作業を不要とすることで、解析作業効率を上げることができます。
(2)自動解析により、検査精度と作業効率を向上
これまで一つひとつ手作業で行っていた画像解析により全自動化。画像解析時の作業者によるばらつきを排除するとともに、作業効率を向上しました。
■細胞外小胞(エクソソーム)の定量化の検証
TOPPANは大日本塗料と連携して、本技術により細胞外小胞(エクソソーム)のイムノクロマトによる検出結果を数値化・定量化できることを確認しました。
検証期間:2023年11月~2024年2月
検証内容:「Exorapid-qIC(R) 細胞外小胞用イムノクロマトキット」の検出結果を専用カラーチャート付き台紙上に固定し、デジタル画像化。画像データを「CAM-FIT(R)」で解析し、定量化するための検量線の作成し、検出結果を数値化・定量化を実施しました。
二社の役割
・TOPPAN
専用カラーチャート付き台紙と、カラーマネジメント技術で定量化するシステムを提供。
・大日本塗料
本定量化システムの開発においては1.定量作業の課題提起および、2.使用者目線での意見の提供。現在、大日本塗料は本定量システムに適応する、新たなイムノクロマトキットの開発にも取り組んでいます。
■今後の展開
TOPPANは、本特許に基づく技術を活用し、細胞外小胞を利用する創薬分野の次世代モダリティ(※5)の研究開発への貢献とともに、新規検出技術の開発を推進します。さらに、アンメット・メディカル・ニーズ(※6)を見据え、医療分野向けの新規診断技術の研究を推進します。
※1 イムノクロマト
多孔質体の中を液体が毛細管現象で流れることを応用し、体液などの検体中に含まれる物質を簡便に測定する技術。インフルエンザや新型コロナウイルスの検査キットなどに活用されている。
※2 エクソソーム
様々な種類の細胞から分泌される細胞外小胞の一種。タンパク質や核酸を包含し、分泌された細胞の情報を多く含む。
※3 リキッドバイオプシー
血液や体液などに含まれる成分を検出し、特定の疾患の診断や治療に必要な情報を取得すること。一般的な生検(バイオプシー)と比較し、体液(リキッド)を使用するため、人体に対して低侵襲な手法。
※4 「CAM-FIT(R)」
撮影対象と専用のカラーチャート印刷物を撮影することで、撮影画像を正しい色に変換できるクラウドサービス。
https://solution.toppan.co.jp/ds/service/colormanagementsystem.html
※5 次世代モダリティ
核酸治療、遺伝子治療、細胞治療など新しい治療方法に寄与し、従来の作用機序とは異なる医薬品分類の総称。
※6 アンメット・メディカル・ニーズ(Unmet Medical Needs)
いまだ有効な治療が確立されていない疾患に対する、満たされていない(unmet)医療ニーズ。
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(2024/02/27 18:08)
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