約6割以上の難聴者が、難聴が原因で日常生活でストレス・孤独感など大きな影響を受けている 難聴者の治療実態と生活に関する意識調査
一般社団法人 日本ウェルリビング推進機構
日本における難聴者数は1250万人、今後も増加の見込みである「難聴」
一般社団法人日本ウェルリビング推進機構(所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目23番5号、代表理事:谷村 江美)は、3月3日「耳の日」を前に、難聴を自覚している全国の20歳~60歳以上の男女618人を対象に、「難聴者の治療実態と生活に関する意識調査」を2024年2月に実施しました。難聴者の治療に関する意識や現状を明らかにし、その結果を通じて、難聴者の方々やその家族、そして社会全体に対する啓発と理解を促進することを目的に、本調査を実施しました。
調査サマリー
1. 難聴と認知症の関連性についての認識が不十分であることが判明。また、難聴の自覚があるにも関わらず、病院に受診していない方は約3割も存在。
・難聴に伴うリスクを聞いたところ、最も多い回答は「理解していない」(38.5%)。
加えて、難聴との関連性が示唆されている「認知症」は難聴に伴う知っているリスクの上位には入らず、第4位にランクイン(34.8%)。
・難聴の自覚があるにも関わらず、病院への受診をしていない方は約3割(33.8%)。
年代別だと難聴のリスクが高まる60代が最も受診していないことが判明。
60代が、病院へ行かない理由の1位は「難聴は加齢に伴う自然なものだから」。
・難聴者の中で、補聴器を利用したことがあるのは約1割(10.2%)、約8割(75.1%)が「補聴器外来を受診したことがない」。
難聴の治療方法として人工内耳を使用している方は「1.1%」に留まる。
2.多くの難聴者は難聴が原因で、周りの家族や、仕事でのパフォーマンス、自身の精神的な健康にも影響を与えている。
・難聴が原因で、家族や周囲の人に迷惑を掛けていると思っている人は約6割(59.1%)。
・難聴が原因で、仕事のパフォーマンスに影響を与えていると感じている人は約7割(74.7%)。
・難聴が原因で、日常生活にストレスや孤独感を感じている人は約6割(59.7%)。
調査の前提
■目的:難聴は超高齢社会を背景に年々増加し、社会課題へ。難聴の啓発がより重要に。
日本ウェルリビング推進機構は、個人のヘルスケアに留まらず、組織の意識・行動変容を通じて、より良い生活を実現することをビジョンとして掲げています。その一環として、現代社会において難聴が社会的な問題となりつつあることに着目しました。難聴は単なる耳の機能の低下にとどまらず、生活の質や精神的健康に大きな影響を与えると考えています。しかし、その認知度や適切な対応がまだまだ不十分であるという課題が存在します。
特に、日本における難聴者数は、超高齢社会を背景に1250万人※1と年々増加しており、解決すべき重要な社会問題となっています。加えて、難聴は早期に対処することで認知症のリスクを軽減できるという最新の研究結果もあります。このような背景から、日本ウェルリビング推進機構は、難聴者の方々がより良い生活を送るためにはどのような支援が必要かを理解し、その支援体制の構築に貢献するために、本調査を実施することにしました。
この調査を通じて得られる知見は、難聴者やその家族、医療機関、社会全体に対する啓発や理解を深めるだけでなく、より包括的な支援システムの構築にも役立つものと考えています。日本ウェルリビング推進機構は、調査から浮き彫りになった実態を踏まえ、今後も難聴に関する適切な情報提供を継続的に行うことの重要性を実感しています。
※1 出典:「JapanTrak 2022」(日本補聴器工業会)
「難聴者の治療実態と生活に関する意識調査」調査概要
■実施時期:2024年1月31日(水) ~ 2024年2月02日(金)
■調査手法:インターネット調査
■調査対象:難聴を自覚している全国の20歳~60歳以上の男女618人
(男性347人、女性271人)
■調査機関:マクロミル
★構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
難聴のリスクと治療実態について
■難聴のリスクについて「理解していない」が最も多く、難聴のリスクに関する認識が低い結果に。 難聴との関連性が示唆されている「認知症」は第4位にランクイン。
難聴に伴うリスクとして理解しているものを聞いたところ、第1位「理解していない」(38.5%)、第2位「社会的孤立」(37.7)%、第3位「鬱」(36.4%)でした。最も多かった結果が「理解していない」となり、難聴に伴うリスクを知らない方が多いことが明らかになりました。次いで、「社会的孤立」「鬱」が続き、4位には最近の研究で、難聴との関連性が示唆されている「認知症」(34.8%)がランクイン。「認知症」のリスクについて一定の方が理解しているものの、トップ3にランクインしていないことから、難聴と認知症の関連性についての認識が不十分であることが明らかになりました。[図1]
■難聴の自覚があるにも関わらず、病院に受診していない方は約3割。年代別では60代が最も受診していないことが判明。
難聴に関連して病院を受診したことがありますかと聞いたところ、「受診したことがある」が約7割(66.2%)、「受診したことはない」が約3割(33.8%)となり、約3割が難聴を自覚しているにも関わらず、病院を受診していないことが分かりました。
また、年代別で「受診したことはない」の回答を見てみると、20代が「35.7%」、30代が「30.9%」、40代が「31.7%」、50代が「28.9%」、60代が「40.8%」と、最も年齢が高い60代が病院を受診していない割合が高いことが判明。年齢が上昇するにつれて、難聴のリスクが増加することが知られています。そのため、最も年齢が高い60代が、他の世代に比べて病院を受診していないという結果は、深刻な問題であることが浮き彫りになったと考えます。[図2・3]
■年代別で最も病院を受診していない60代が、病院へ行かない理由の1位は「難聴は加齢に伴う自然なものだから」。
「受診をしたことはない」と回答した60代の方々に病院を受診しない理由を聞くと、第1位「難聴は加齢に伴う自然なものだから」(50.0%)、第2位「生活に支障はないと考えているから」(42.5%)、第3位「受診は面倒くさいと感じたため」(22.5%)となりました。60代の受診率が低い主な理由は、 2人に1人が「歳を重ねると難聴になるのは自然なことだ」と考え、難聴を病気として重く捉えず治療の必要性を認識していないことが分かりました。[図4]
■難聴者の補聴器の利用率は約1割と、まだまだ利用率は低い結果に。
現在、補聴器を装用していますかと聞いたところ、「装用している」が約1割(10.2%)、「装用していない」が約9割(89.8%)となり、難聴者の補聴器の利用率が低いことが明らかになりました。補聴器の利点や使用方法について、更なる適切な情報提供が望まれています。[図5]
■難聴者の約8割が補聴器外来を受診したことが無い結果に。
補聴器外来を受診したことがありますかと聞いたところ、 「受診したことはない」が約8割(75.1%)、「受診したことがある」が約2割(24.9%)と回答。補聴器を必要とする人々が補聴器外来への受診に対する認識が低いことが明らかになり、多くの方が補聴器外来を訪れることの意義や恩恵について知識不足であるという課題が浮き彫りになりました。[図6]
■現在、難聴の治療方法として人工内耳を使用している方は「1.1%」に留まる。 人工内耳を使用していない背景には、そもそも人工内耳を「知らない」ことが原因に?
現在、人工内耳を使用していますかと聞いたところ、「検討、使用どちらもしていない」(90.8%)、 「検討したことはあるが使用していない」(8.1%)と9割以上の方が人工内耳を使用していないと回答。一方で、「使用している」が1.1%となり、人工内耳の利用率が極めて低いことが判明しました。
また、 「使用していない(「検討、使用どちらもしていない」、「検討したことはあるが使用していない」と回答した方)」と回答した方に、なぜ人工内耳を使用しなかったのかを聞いたところ、「知らなかった」が約6割(59.6%)と、最も多い結果になりました。「知らなかった」という回答が最も多かったことから、人工内耳の利用率が低い原因には、難聴者に対する人工内耳の情報提供不足があると考えられます。[図7]
難聴が与える仕事・生活への影響について
■難聴が原因で、家族や周囲の人に迷惑を掛けていると思っている人は約6割と高い結果に。
難聴で耳が聞こえにくいことから、家族や周囲の人達に対して、迷惑を掛けていると感じますかと聞いたところ、約6割(59.1%)が「迷惑を掛けている」と回答し、難聴が原因で家族や周囲の人々に迷惑を掛けていると自覚している難聴者が多いことが分かりました。[図8]
■難聴が原因で、仕事のパフォーマンスに影響を与えていると感じている人は約7割と高い結果に。
耳が聞こえづらいことが仕事のパフォーマンスに影響を与えていると感じますかと聞いたところ、約7割(74.7%)が「影響を与えている」と回答し、難聴が原因で仕事のパフォーマンスに影響を与えていることが判明しました。[図9]
■難聴が原因で、日常生活にストレスや孤独感を感じている人は約6割と高い結果に。
難聴が原因で日常生活においてストレスや孤立感をより感じることがありますかと聞いたところ、約6割(59.7%)が「ストレスや孤独感を感じる」と回答し、難聴が原因でストレスや孤立感を感じている難聴者が多いことが分かりました。[図10]
【調査結果コメント】 愛知医科大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 特任教授 内田育恵先生
調査結果を通して、難聴が現代社会における重要な健康課題であることを再確認しました。難聴は単なる聴力の低下にとどまらず、患者やその家族に精神的な負担を与え、社会参加の障壁となる可能性があります。
特に、今回の調査から、難聴と認知症との関連性や、早期治療の重要性についての認識不足が明らかになりました。難聴と認知症の関連性について最近の研究では、難聴が認知症のリスク因子の一つであることが示唆されています。音の刺激が脳の活動を促し、認知機能を維持することが知られており、難聴による聴覚刺激の不足は、認知機能の低下を招く可能性があります。また、加齢性難聴の割合が高くなる60代は、他の年代に比べて、難聴があるにも関わらず、病院に受診しないことが判明するなど、年代別でも難聴治療における課題が浮き彫りになっています。
そのため、難聴者のQOLを向上させるためには、早いタイミングでの医療機関への受診、適切な治療を受けることが求められています。調査結果の中で、補聴器や人工内耳といった治療法の利用率が低いことが明らかになった一方で、補聴器や人工内耳は、難聴の症状を改善し、難聴者の仕事、日常生活の質を向上させる有効な治療方法となっています。
私自身も、一人の医師として、難聴の早期発見と適切な治療を促進し、難聴患者がより豊かな生活を送ることができるよう、さらなる啓発活動や情報提供を積極的に行っていきます。
一般社団法人 日本ウェルリビング推進機構 概要
・名称:一般社団法人日本ウェルリビング推進機構 (Japan Well-living Foundation)
・設立日:2022年8月1日
・所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目23番5号
・代表理事:谷村 江美(代表理事)
・URL:http://jwlf.jp/
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日本における難聴者数は1250万人、今後も増加の見込みである「難聴」
一般社団法人日本ウェルリビング推進機構(所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目23番5号、代表理事:谷村 江美)は、3月3日「耳の日」を前に、難聴を自覚している全国の20歳~60歳以上の男女618人を対象に、「難聴者の治療実態と生活に関する意識調査」を2024年2月に実施しました。難聴者の治療に関する意識や現状を明らかにし、その結果を通じて、難聴者の方々やその家族、そして社会全体に対する啓発と理解を促進することを目的に、本調査を実施しました。
調査サマリー
1. 難聴と認知症の関連性についての認識が不十分であることが判明。また、難聴の自覚があるにも関わらず、病院に受診していない方は約3割も存在。
・難聴に伴うリスクを聞いたところ、最も多い回答は「理解していない」(38.5%)。
加えて、難聴との関連性が示唆されている「認知症」は難聴に伴う知っているリスクの上位には入らず、第4位にランクイン(34.8%)。
・難聴の自覚があるにも関わらず、病院への受診をしていない方は約3割(33.8%)。
年代別だと難聴のリスクが高まる60代が最も受診していないことが判明。
60代が、病院へ行かない理由の1位は「難聴は加齢に伴う自然なものだから」。
・難聴者の中で、補聴器を利用したことがあるのは約1割(10.2%)、約8割(75.1%)が「補聴器外来を受診したことがない」。
難聴の治療方法として人工内耳を使用している方は「1.1%」に留まる。
2.多くの難聴者は難聴が原因で、周りの家族や、仕事でのパフォーマンス、自身の精神的な健康にも影響を与えている。
・難聴が原因で、家族や周囲の人に迷惑を掛けていると思っている人は約6割(59.1%)。
・難聴が原因で、仕事のパフォーマンスに影響を与えていると感じている人は約7割(74.7%)。
・難聴が原因で、日常生活にストレスや孤独感を感じている人は約6割(59.7%)。
調査の前提
■目的:難聴は超高齢社会を背景に年々増加し、社会課題へ。難聴の啓発がより重要に。
日本ウェルリビング推進機構は、個人のヘルスケアに留まらず、組織の意識・行動変容を通じて、より良い生活を実現することをビジョンとして掲げています。その一環として、現代社会において難聴が社会的な問題となりつつあることに着目しました。難聴は単なる耳の機能の低下にとどまらず、生活の質や精神的健康に大きな影響を与えると考えています。しかし、その認知度や適切な対応がまだまだ不十分であるという課題が存在します。
特に、日本における難聴者数は、超高齢社会を背景に1250万人※1と年々増加しており、解決すべき重要な社会問題となっています。加えて、難聴は早期に対処することで認知症のリスクを軽減できるという最新の研究結果もあります。このような背景から、日本ウェルリビング推進機構は、難聴者の方々がより良い生活を送るためにはどのような支援が必要かを理解し、その支援体制の構築に貢献するために、本調査を実施することにしました。
この調査を通じて得られる知見は、難聴者やその家族、医療機関、社会全体に対する啓発や理解を深めるだけでなく、より包括的な支援システムの構築にも役立つものと考えています。日本ウェルリビング推進機構は、調査から浮き彫りになった実態を踏まえ、今後も難聴に関する適切な情報提供を継続的に行うことの重要性を実感しています。
※1 出典:「JapanTrak 2022」(日本補聴器工業会)
「難聴者の治療実態と生活に関する意識調査」調査概要
■実施時期:2024年1月31日(水) ~ 2024年2月02日(金)
■調査手法:インターネット調査
■調査対象:難聴を自覚している全国の20歳~60歳以上の男女618人
(男性347人、女性271人)
■調査機関:マクロミル
★構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計が100%にならない場合があります。
難聴のリスクと治療実態について
■難聴のリスクについて「理解していない」が最も多く、難聴のリスクに関する認識が低い結果に。 難聴との関連性が示唆されている「認知症」は第4位にランクイン。
難聴に伴うリスクとして理解しているものを聞いたところ、第1位「理解していない」(38.5%)、第2位「社会的孤立」(37.7)%、第3位「鬱」(36.4%)でした。最も多かった結果が「理解していない」となり、難聴に伴うリスクを知らない方が多いことが明らかになりました。次いで、「社会的孤立」「鬱」が続き、4位には最近の研究で、難聴との関連性が示唆されている「認知症」(34.8%)がランクイン。「認知症」のリスクについて一定の方が理解しているものの、トップ3にランクインしていないことから、難聴と認知症の関連性についての認識が不十分であることが明らかになりました。[図1]
■難聴の自覚があるにも関わらず、病院に受診していない方は約3割。年代別では60代が最も受診していないことが判明。
難聴に関連して病院を受診したことがありますかと聞いたところ、「受診したことがある」が約7割(66.2%)、「受診したことはない」が約3割(33.8%)となり、約3割が難聴を自覚しているにも関わらず、病院を受診していないことが分かりました。
また、年代別で「受診したことはない」の回答を見てみると、20代が「35.7%」、30代が「30.9%」、40代が「31.7%」、50代が「28.9%」、60代が「40.8%」と、最も年齢が高い60代が病院を受診していない割合が高いことが判明。年齢が上昇するにつれて、難聴のリスクが増加することが知られています。そのため、最も年齢が高い60代が、他の世代に比べて病院を受診していないという結果は、深刻な問題であることが浮き彫りになったと考えます。[図2・3]
■年代別で最も病院を受診していない60代が、病院へ行かない理由の1位は「難聴は加齢に伴う自然なものだから」。
「受診をしたことはない」と回答した60代の方々に病院を受診しない理由を聞くと、第1位「難聴は加齢に伴う自然なものだから」(50.0%)、第2位「生活に支障はないと考えているから」(42.5%)、第3位「受診は面倒くさいと感じたため」(22.5%)となりました。60代の受診率が低い主な理由は、 2人に1人が「歳を重ねると難聴になるのは自然なことだ」と考え、難聴を病気として重く捉えず治療の必要性を認識していないことが分かりました。[図4]
■難聴者の補聴器の利用率は約1割と、まだまだ利用率は低い結果に。
現在、補聴器を装用していますかと聞いたところ、「装用している」が約1割(10.2%)、「装用していない」が約9割(89.8%)となり、難聴者の補聴器の利用率が低いことが明らかになりました。補聴器の利点や使用方法について、更なる適切な情報提供が望まれています。[図5]
■難聴者の約8割が補聴器外来を受診したことが無い結果に。
補聴器外来を受診したことがありますかと聞いたところ、 「受診したことはない」が約8割(75.1%)、「受診したことがある」が約2割(24.9%)と回答。補聴器を必要とする人々が補聴器外来への受診に対する認識が低いことが明らかになり、多くの方が補聴器外来を訪れることの意義や恩恵について知識不足であるという課題が浮き彫りになりました。[図6]
■現在、難聴の治療方法として人工内耳を使用している方は「1.1%」に留まる。 人工内耳を使用していない背景には、そもそも人工内耳を「知らない」ことが原因に?
現在、人工内耳を使用していますかと聞いたところ、「検討、使用どちらもしていない」(90.8%)、 「検討したことはあるが使用していない」(8.1%)と9割以上の方が人工内耳を使用していないと回答。一方で、「使用している」が1.1%となり、人工内耳の利用率が極めて低いことが判明しました。
また、 「使用していない(「検討、使用どちらもしていない」、「検討したことはあるが使用していない」と回答した方)」と回答した方に、なぜ人工内耳を使用しなかったのかを聞いたところ、「知らなかった」が約6割(59.6%)と、最も多い結果になりました。「知らなかった」という回答が最も多かったことから、人工内耳の利用率が低い原因には、難聴者に対する人工内耳の情報提供不足があると考えられます。[図7]
難聴が与える仕事・生活への影響について
■難聴が原因で、家族や周囲の人に迷惑を掛けていると思っている人は約6割と高い結果に。
難聴で耳が聞こえにくいことから、家族や周囲の人達に対して、迷惑を掛けていると感じますかと聞いたところ、約6割(59.1%)が「迷惑を掛けている」と回答し、難聴が原因で家族や周囲の人々に迷惑を掛けていると自覚している難聴者が多いことが分かりました。[図8]
■難聴が原因で、仕事のパフォーマンスに影響を与えていると感じている人は約7割と高い結果に。
耳が聞こえづらいことが仕事のパフォーマンスに影響を与えていると感じますかと聞いたところ、約7割(74.7%)が「影響を与えている」と回答し、難聴が原因で仕事のパフォーマンスに影響を与えていることが判明しました。[図9]
■難聴が原因で、日常生活にストレスや孤独感を感じている人は約6割と高い結果に。
難聴が原因で日常生活においてストレスや孤立感をより感じることがありますかと聞いたところ、約6割(59.7%)が「ストレスや孤独感を感じる」と回答し、難聴が原因でストレスや孤立感を感じている難聴者が多いことが分かりました。[図10]
【調査結果コメント】 愛知医科大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 特任教授 内田育恵先生
調査結果を通して、難聴が現代社会における重要な健康課題であることを再確認しました。難聴は単なる聴力の低下にとどまらず、患者やその家族に精神的な負担を与え、社会参加の障壁となる可能性があります。
特に、今回の調査から、難聴と認知症との関連性や、早期治療の重要性についての認識不足が明らかになりました。難聴と認知症の関連性について最近の研究では、難聴が認知症のリスク因子の一つであることが示唆されています。音の刺激が脳の活動を促し、認知機能を維持することが知られており、難聴による聴覚刺激の不足は、認知機能の低下を招く可能性があります。また、加齢性難聴の割合が高くなる60代は、他の年代に比べて、難聴があるにも関わらず、病院に受診しないことが判明するなど、年代別でも難聴治療における課題が浮き彫りになっています。
そのため、難聴者のQOLを向上させるためには、早いタイミングでの医療機関への受診、適切な治療を受けることが求められています。調査結果の中で、補聴器や人工内耳といった治療法の利用率が低いことが明らかになった一方で、補聴器や人工内耳は、難聴の症状を改善し、難聴者の仕事、日常生活の質を向上させる有効な治療方法となっています。
私自身も、一人の医師として、難聴の早期発見と適切な治療を促進し、難聴患者がより豊かな生活を送ることができるよう、さらなる啓発活動や情報提供を積極的に行っていきます。
一般社団法人 日本ウェルリビング推進機構 概要
・名称:一般社団法人日本ウェルリビング推進機構 (Japan Well-living Foundation)
・設立日:2022年8月1日
・所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目23番5号
・代表理事:谷村 江美(代表理事)
・URL:http://jwlf.jp/
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(2024/03/11 15:00)
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